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ゆっくり向けの節分 8KB 虐待-いじめ 理不尽 飼いゆ たぶん今日は節分 ・季節のイベントには乗っておくべきかと。 『ゆっくり向けの節分』 D.O 今日は節分の日。 幼稚園や小学校では豆まき行事が行なわれ、 商店でも軒並み、節分関連グッズが店頭に並ぶ。 そうは言ってもさすがに、一人暮らしのいい大人が自宅で、 ペット相手に豆をまいたり一緒に豆を食べたり、というほど面白い行事でもないのだが。 だが、今回舞台となる古い木造アパートの2階ではそんな、 涙無しには見ていられないことをやっていたりする連中がいた。 「はっはっはっはっは!!鬼は―外ー!!」 じゃららっ!!! 「ゆぴぃぃ!やめちぇにぇ!ゆっくちできにゃ『ぺしぺしっ!!』ゆぴぇ!」 2部屋と台所しかない室内で豆を投げているのは、Tシャツにトランクス姿のお兄さん。 一方家中追い掛け回されながら豆をぶつけられているのは、 生まれた直後に拾われ、約一ヶ月の間お兄さんに育てられてきた子れいむだ。 子れいむは理由がわからなかった。 拾われてから今までずっと、ゆっくりと育ててくれていたお兄さん。 今日はいいものをあげよう!と言ってくれたのは、ゆっくりすいか扮装セットだった。 子れいむはその、ゆっくりしたプレゼントに喜び、奥の部屋で子すいかに扮装した。 そして部屋から顔を出したと思ったら、いきなり硬い豆が飛んできたのである。 「はっはっはっはははははー!!鬼は―外ー!!鬼は―外ー!!」 じゃららっ!!! 「ゆぴぃぃ!やめちぇー!ゆっくちしちぇにぇ!ゆっくちしちぇぇぇええ!」 それから約10分後。 家中豆だらけになり、子れいむが逃げ疲れてぐずるだけになった頃、 豆まきは終わった。 「ゆぇ・・・ぅっくち・・・。」 「はっはは!すまんすまん!今日は節分だからな!ちょっとやりすぎた!はははは!!」 「ゆぅ?しぇつぶん?」 「ああ、節分だ!豆が悪い鬼を追い出んだ!すごいだろ!!」 「ゆぅ?おにしゃん?」 「すいかみたいな角の生えた、とっても悪いやつだ!はっはー!」 「おまめしゃん、しゅごーい!ゆっくちしちぇるにぇ!」 ぐずぐずと泣いていた子れいむも、どうやら豆をまくのは大事なことだ、 ということがわかり、すっかり笑顔になっている。 単純なものだ。 「そんなわけで、おうちの鬼は追い払った!次は体の中だな!ほれ!豆食え!」 「ゆぅ?むーちゃむーちゃしゅるの?」 「よくわからんが、歳の数だけ豆食ったら病気にならんとか、そんな感じらしい!ほれ!」 「ゆーん・・・れいみゅ、いくつたべりゅの?」 「うむ・・・ん?」 言われてみれば、この風習は人間向きのものだ。 子れいむは生まれてすぐに拾われたので生後何日かはわかる。 しかしそれでは数え年分の一粒しか食べられない・・・ 「うーん。そうだな。ゆっくりに人間の歳を当てはめるのもなんだ。よし!」 「ゆゆっ!?」 そういってお兄さんは、れいむの前に33粒の豆を置く。 「年でダメなら日数分でどうだ!はっはっはー!!」 「ゆ、ゆわーい!ゆっくちたくしゃんたべれりゅにぇ!!」 ・・・・・・。 「むーちゃむーちゃ、ちあわちぇー!」 「残さず食うんだぞ!」 「むーちゃむーちゃ、むーちゃむーちゃ・・・・」 ・・・・・・。 「ゆぎぇーぴゅ・・・まんぷきゅー・・・。」 所詮は子れいむ。 体のサイズの割には食べた方だが、まだ目の前には17粒の豆が残っていた。 「はっはっはっはっは!縁起ものだぞ!全部食え!」 「ゆ・・ぎゅ?むぎゅー!もぎょぎゅ・・・!」 だが、お兄さんは妥協を許さない。 子れいむを持ち上げると無理やり口を開かせ、さらに4粒、子れいむの頬にねじ込んだ。 「む、もごぎゅ。むー、ぢゅぁあ!!もうたべられにゃいよ!ゆっくちさせちぇにぇ!」 「ふーむ。しょうがないなー。」 そういうとお兄さんは、 ・・・さくっ! 手元にあった果物ナイフの刃を子れいむの額に水平に刺し、クルリと一周させた。 子れいむの頭頂部が、鍋の蓋のようにぱかっと剥がされる。 「ゆ・・・ゆびぃっ!?」 「ほら、全部食え食え!はっはは!」 ぐいっ!ぐいっ! お兄さんは、子れいむの頭にぱっくりと開いた傷口のど真ん中、 餡子の中央に豆をぐいぐいとねじ込んでいく。 「ゆ゛・・いぢゃい!いぢゃ・・・ぎゅぴぃ・・!!」 皮の近くにねじ込んではいないので、 見た目は子れいむの体が、風船のように膨張していくだけだ。 しかし、当の子れいむは強烈な痛みを伴う異物感を味わっているので、 自分の体に行なわれている事が、ただ事ではないことを理解する。 「ゆびっ!・・・ぴぃ・・ゆぎゅ!おにいぢゃ!やべぢぇっ!」 「はっはっは!遠慮するな!もうすぐ全部入るからな!はっはー!」 そして、子れいむの体積がソフトボールサイズからハンドボールサイズに近くなった頃、 33粒の豆は全て、子れいむの中に納まったのであった。 「く、くるちいよぉ・・う、うんうん・・・ぢゅるよぉ・・・」 切り開いた頭もしっかり元通り閉じた。 成長したわけでもないのに、これだけ体積が増えたのだから、 体内にかかる圧力は、子れいむをゆっくりさせないのに、充分すぎるほど。 こうなると、食べ過ぎたときと同様、当然出るものが出てくる。 「はっはっは!こらこら!せっかく食べさせたのに、いきなり出すなよ!」 「しょ、しょんにゃこといっちぇも・・・」 そんなことを離している間にも、子れいむのあにゃるは勝手に開き始め、 茶紫色のにくいヤツが顔を出そうとしていた。 「ふむ、よし!しょうがない!これをやろう!」 そう言ってお兄さんが取り出したのは、 トイレットペーパーの芯より少し細い、かっぱ巻きサイズの恵方巻き。 「ふぅーむ!お前用に作ってた恵方巻きだったがしょうがない!・・・そらっ!」 ぐぬっ! 「ゆぴゃぁぁああ!!れいみゅのあにゃるしゃんぎゃぁぁあ!!」 「はっはっは!まあ、上から食うのも下から食うのも、お前達なら変わらんだろ!」 「しょ、しょんなわけにゃいぃぃいいい!!」 「ほら、抜きたきゃ全部食えよ!ははははは!!」 そういうと、お兄さんは長さ30cm以上ある特製恵方巻きの、 あにゃるに刺さっている方の反対側の端っこを、子れいむの口にねじ込んでやった。 「もぎゅ・・・ぎゅぴゅ・・・ぴ・・・・」 「おお、こんな時間だ!じゃ、おやすみ!れいむ!ははははははははははははは・・・・」 こうして、お兄さんはやりたい放題やった後、 子れいむを放置して隣の部屋に行ってしまった。 「むぎゅ・・・ぴぅ?きゅぴぅ・・・?」 子れいむには、お兄さんがなぜ、どうしてこのような目に自分を遭わせるのか、 最後まで全く理解できなかった。 どうして? どうして? ・・・ドウシテ? ただ、一つだけ理解していることがあった。 うんうんを出すためには、この恵方巻きを引き抜くしかない。 しかし、体内はあんよも動かせないほどパンパン。 体を振って引き抜くことが出来ず、ゆっくりには手も足も無い。 子れいむが恵方巻きを引っ張る方法は一つしかなかった。 ・・・翌日、お兄さんが目を覚ますと、 子れいむは、弾けたあにゃるから餡子をだらしなくひり出し、 半分ほど食べ終わった恵方巻きを恨めしそうに眺めたまま息絶えていた。 ※胴付きすいかのおまめちゃんを食べてあげよう的なネタは これっぽっちも思い浮かびませんでした。 挿絵 by全裸あき 餡小話掲載作品(またちゃんと整理します。) 『町れいむ一家の四季』シリーズ 前日談 ふたば系ゆっくりいじめ 522 とてもゆっくりしたおうち ふたば系ゆっくりいじめ 628 ゆきのなか ふたば系ゆっくりいじめ 753 原点に戻ってみる ふたば系ゆっくりいじめ 762 秋の実り 『町れいむ一家の四季』シリーズ(ストーリー展開順・おまけはそうでもない) 春-1-1. ふたば系ゆっくりいじめ 161 春の恵みさんでゆっくりするよ 春-2-1. ふたば系ゆっくりいじめ 154 竜巻さんでゆっくりしようね 春-2-2. ふたば系ゆっくりいじめ 165 お姉さんのまりさ飼育日記(おまけ) 春-2-3. ふたば系ゆっくりいじめ 178 お姉さんとまりさのはじめてのおつかい(おまけ) 春-2-4. ふたば系ゆっくりいじめ 167 ちぇんの素晴らしきゆん生(おまけ) 春-2-5. ふたば系ゆっくりいじめ 206 町の赤ゆの生きる道(おまけ) 夏-1-1. ふたば系ゆっくりいじめ 137 真夏はゆっくりできるね 夏-1-2. ふたば系ゆっくりいじめ 139 ゆっくりのみるゆめ(おまけ) 夏-1-3. ふたば系ゆっくりいじめ 734 未成ゆん(おまけ) 夏-1-4. ふたば系ゆっくりいじめ 678 飼われいむはおちびちゃんが欲しい(おまけ) 夏-1-5. ふたば系ゆっくりいじめ 174 ぱちぇと学ぼう!ゆっくりライフ(おまけ) 夏-1-6. ふたば系ゆっくりいじめ 235 てんこのインモラルスタディ(おまけ) 夏-1-7. ふたば系ゆっくりいじめ 142 ゆうかりんのご奉仕授業(おまけ) 夏-2-1. ふたば系ゆっくりいじめ 146 雨さんはゆっくりしてるね 夏-2-2. ふたば系ゆっくりいじめ 205 末っ子れいむの帰還 秋-1. ふたば系ゆっくりいじめ 186 台風さんでゆっくりしたいよ 秋-2. ふたば系ゆっくりいじめ 271 都会の雨さんもゆっくりしてるね 冬-1. ふたば系ゆっくりいじめ 490 ゆっくりしたハロウィンさん 『町れいむ一家の四季』シリーズ 後日談 ふたば系ゆっくりいじめ 132 俺の嫁ゆっくり ふたば系ゆっくりいじめ 148 ここはみんなのおうち宣言 ふたば系ゆっくりいじめ 224 レイパーズブレイド前篇(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 249 Yの閃光 ふたば系ゆっくりいじめ 333 銘菓湯栗饅頭 ふたば系ゆっくりいじめ 376 飼いゆっくりれいむ ふたば系ゆっくりいじめ 409 町ゆっくりの食料事情 ふたば系ゆっくりいじめ 436 苦悩に満ちたゆん生 ふたば系ゆっくりいじめ 662 野良ゆっくりがやってきた ふたば系ゆっくりいじめ 807 家出まりさの反省 その他(舞台設定のみ共有) ふたば系ゆっくりいじめ 157 ぱちゅりおばさんの事件簿 ふたば系ゆっくりいじめ 305 ゆっくりちるのの生態 ふたば系ゆっくりいじめ 854 ごく普通のゆっくりショップ 本作品 D.Oの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る グロっ -- 2019-03-31 01 50 08 きったねぇな -- 2018-08-26 21 05 22 弱ってる赤ゆで自分しか頼れる(ゆっくりさせてくれる)者がいなければなつくから可愛い。けどしばらくすると自ゆんで色々やりたくなって生意気になってくる。それをされる前に潰す。飼いゆなんてシステムを楽しむ愛で派らしいお兄さんじゃないか -- 2017-05-28 18 47 03 お前黙れ -- 2014-06-04 22 35 56 ゆんやーーーーーこの挿し絵さん きょわいぃいぃぃぃ!! -- 2014-03-09 02 47 42 めっちゃおもろかったwwやっぱり理不尽虐待は最高だZE! ただほんのちょっとだけ気になったのはお兄さんは生粋の鬼威山で この日の為に一ヶ月間は虐待もせずに育てたのかな? まあれいみゅさえ苦しんで死んでくれたのならどうでもいい些細な事だけどね -- 2012-01-22 15 25 23 おお、きもいきもい。 -- 2011-10-17 20 08 12 wwwきめぇwwww -- 2011-10-17 00 40 02 ヒャッハー!!糞袋は虐待だーーー!!! -- 2011-10-15 22 40 49 ↓落ち着け!愛でというスタンス自体を否定してしまえばお前もトップ注意書きの読めない餡子脳に認定されるぞ! 俺たちはあくまで↓×8の自分中心餡子脳発言だけを責めるべきだ。 希少種のタグも愛でのタグもついてないのに注意書き無視して勝手に期待して勝手に裏切られたとか言って批判コメ書いてくなんてばかなの?しぬの? -- 2011-02-12 23 49 29 ↓↓↓↓↓↓↓しぬのはお前の方だろ。糞愛で野郎が・・・ -- 2010-11-28 12 39 13 ↓↓↓↓↓↓勝手に自分の中で決め付けてそれが出てこなかったら文句とか、ゲスれいむやまりさと一緒の餡子脳だなwバカなの?しぬの?(笑) -- 2010-11-28 06 40 23 食べ物を粗末にするれいむが死んでよかった -- 2010-11-18 08 11 30 ↓↓↓↓ゆっくりなんて愛でてるやつは死ね!!!あっごめーん!ついうっかりゆっくりできない発言をしちゃったよ!! -- 2010-09-25 00 57 22 わけもわからず死にやがれ糞れいむ! -- 2010-09-05 14 39 39 イラストを見る限りでは最後の最後まで苦しんだみたいだな。いいオチだ。 -- 2010-08-02 12 35 11 そう思ったらじぶんでかけばいいでしょう?ばかなの?しぬの? -- 2010-07-15 01 59 39 ゆうぎ・すいか愛でを期待していたのに…裏切られた。 節分ネタにれいむしか出さないとか、ばかなの?しぬの? -- 2010-07-09 03 37 56
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ゆっくり戦記・前編 12KB *世界観が狂ってます。 *ゆっくりが強く書かれています。 *人とゆっくりが真剣に戦います。 *ゆっくりも人も多く死にます。 UK暦■■年 夏 若手ドスの暴走から始まり、長年にわたり続いていた鬼意惨達とゆっくり達の戦いは終焉を迎えようとしていた。 ゆっくりの勢力で2番目の規模を誇っていたグランドスまりさの群を潰した鬼意惨達は、最後にして最大の軍勢であるマザーれいむの群へと最後の侵攻を開始した。 ゆっくりと鬼意惨の最終決戦が幕を開けたのである。 ■ 「ついに此処まで来たか……」 荒れた大地を埋め尽くす鬼意惨の軍勢、その先頭に立つ指揮官鬼意惨は感慨深げにつぶやく。 彼らの前方には同じく大地を埋め尽くすほどの数のゆっくり達がいた。 ゆっくり達はマザーれいむ軍、今回の戦争の中でも最大最強と言われたゆっくりの軍勢である。 なぜれいむ種が、と思うものも多いだろう。 無論マザーれいむ軍と言ってもれいむ種だけではない、まりさ種やみょん種など戦闘力の高い種族も多くいる。 だがこの軍勢を支える真の柱は、軍勢の大将であり群を纏めるリーダーであるマザーれいむ本人に有った。 れいむ種は特徴が薄い種と言われ、ドス種となってもそれは同じだと思われていた。 そのため戦争初期はマザーれいむが陣取っていた場所が遠方の僻地という事もあり、鬼意惨達は無視していたのだ。 だが違った、彼女にも特徴があったのだ。 マザーれいむは己を母体とする事により、大量のゆっくり達を生み出すことが出来たのだ。 またドス種の餡を受け継いだためか、成長早く、体格大きく、能力の高いゆっくりが多く生まれ、瞬く間に最強と言わしめるまでの軍勢を気づき上げた。 そしてその軍勢が今、最強の敵として鬼意惨達の前に立ちふさがっていた。 『来たね、鬼意惨達……』 ゆっくり達の軍勢から7~8mほどあろうかという一際巨大なれいむ、マザーれいむが出てくる。 同じく指揮官鬼意惨も乗っていた馬を走らせ前に出る、そして両者は軍勢の中央で相対した。 『隣の群のドスまりさを殺したんだね、とてもゆっくりしたいいまりさだったのに……』 「それが戦争だ、ソレぐらいわかってるだろ? まぁ安心しろ、すぐにあの世で会わせてやるさ」 『そう上手くいくと思ってるの? 鬼意惨達こそあっちでまりさに謝ってきてね!!』 「なめるなよくそ饅頭。マザーれいむ、今日こそお前らの最後の日だ!!」 言う事は言ったと両者は背を向け、一度軍勢の元へと戻る。 指揮官鬼意惨が隊に戻ると同時に、長槍と大型の盾を持った一団、歩兵槍部隊が三列となって前に出る。 彼らの漲ってる表情を見て、指揮の高さを確認した指揮官鬼意惨は、大きく息を吸うと声高らかに叫ぶ。 「行くぜ野郎ども! 歩兵隊、突撃ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!!」 「「「「「HyaHaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」 盾と槍を構え、荒れた大地を駆け足で進んでいく歩兵鬼意惨。 対するゆっくり達は腹をパンパンに膨らませたゆっくりれいむがスィーに乗って前方に進んでくる。 れいむ達の顔は皆決死の覚悟と共に、何かの苦痛に耐えているようであった。 「いかん。……盾構え!顔を出すな!!」 何かに気づいた指揮官鬼意惨の言葉に従い、できるだけ盾に体を潜ませる歩兵達。 「「「「ゆっぐりじねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」 それとほぼ同時にれいむ達の顔に苦痛宿り、その産道が開いてそこから勢い良く石が飛び出してくる。 ガン!ガン!っと激しい音を立てながら盾にぶつかる石、その衝撃からもし頭など打ち所が悪ければ命を落としかねない威力が分かる。 これはゆっくりの攻撃手段の一つである産道の出産の圧力を使った投石である。 産道が傷つき、最悪命を落とす事もある危険な技だがその威力はそれなりもモノを有していた。 「ちぃ、投石か! ええぃ、進め進めぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」 「「「「「HyaHaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」 衝撃で落とさぬよう盾を握りなおし、再び前進を始める兵士達。 対してれいむ達もスィーで前進しながら、命を捨てる覚悟で次から次へと投石を繰り返してくる。 ぶつかる石と盾、鬼意惨の部隊も負けじと兵の援護に矢が放たれる。 兵の中には衝撃で盾を落としたり、地に落ちた石に足元を囚われ、投石の直撃を食らうものもいた。 れいむ達もその痛みに限界が来て、次々に命を落としていく。 それが暫く続いた後、ついに兵の第一陣がゆっくり達へとぶつかって行く。 「死ねぇ!!」 「ゆぎぃ!?」 長槍が次々にれいむに突き刺さり、その命を奪っていく。 だがそれでもゆっくり達は怯まない。辛うじて命を繋ぎ止めたれいむは、その石が残る体を最後の武器にと兵に向かってぶつかって行く。 マザーの群のゆっくりは先のも述べたように一般的なゆっくりより大きく、成人男性の腰ほどの大きさを持っている。 そのような大きさの物体が石の重量をもってぶつかって来る衝撃は盾越しでも大きく、兵達の進行が止まる。 「みんな、れいむたちにつづくよ!!」 「れいむたちのぎせいをむだにしないみょん!!」 さらにれいむに続くようにゆっくりの第二陣、刃で武装したまりさやみょんなど戦闘に強い種が打って出る。 ぶつかり合う饅頭と人、兵達は長槍を捨て近づいてきたゆっくり達をその盾で防ぎ、剣を抜いて応戦をはじめる。 「混戦状態に注意しろ! 盾は防ぐだけじゃない、剣だけでなく盾を鈍器のように使え!!」 一陣の指揮を任されていた隊長鬼意惨は、言いながらもその剣でまりさの体を薙ぐ。 餡子が飛び散り、地に体を落とすまりさ。だが急に帽子が動いたかと思うと、その中から刃を括り付けた拳ほどの大きさの子ゆっくりが何匹か飛び出してくる。 「ゆっくりしねぇ!!」 「くぅ!? ……なめるなぁ! 子饅頭!!」 隊長鬼意惨は何とかそれを盾で防ぐと、地面に落ちた子ゆっくりをすぐに潰した。 「気をつけろ、帽子つきは中にガキを仕込んでぞ!!」 見れば子ゆっくりの奇襲によって命を落としていく兵も居る。 散り行く部下達の姿に歯噛みしながらも、次の相手へとその刃を振り下ろしていった。 ■ 「むきゅ、鬼意惨達の一陣の足止めは完了、第二陣も予定通りのタイミングで来てるわね」 『そうだね、皆しっかりやってくれてる』 ゆっくり陣営の後方、マザーれいむとその頭に乗った参謀であるぱちゅりが戦場の様子を見ていた。 ゆっくりと鬼意惨が入り乱れ、餡子と血が大地を染める。 ゆっくり達が潰され、果てて行く姿にマザーれいむの目に悲しみが宿る。 当然だろう、ここに居る兵ゆっくり達の殆どは自らの子であり、そうで無い者も大切な群の家族なのだ。 だが泣き言は言わなかった、この戦を生き残ろうと決意した時から覚悟は出来ているのだ。 「れいむ……」 そんなマザーれいむの様子を参謀ぱちゅりは痛ましそうに見る。 このぱちゅりは戦争初期からマザーれいむと共に歩んできた同士であり、マザーれいむを唯一れいむと呼ぶ間柄であった。 それ故にマザーれいむがどれほどの苦しみを感じ、それを耐えているか手に取るように分かったのだ。 元来マザーれいむは戦争の発端者であった鬼意惨に戦いを仕掛けたドス達と違い、先日討たれたグランドスまりさと共に戦争反対派であった。 最初は戦うつもりもなく、眷属と僻地に篭っていたマザーれいむであったが、時代がそれを許さず動かざる負えなくなった。 ぱちゅがマザーれいむの群に来たのはその頃である。当時弱小勢力であったマザーれいむに知恵を貸し、幾度と無く共に群を護っていった。 結果ぱちゅの知恵とマザーれいむの特製による戦力強化により、群はゆっくり中最強の軍勢となり、そしてマザーれいむはゆっくりする事を捨てた。 気の知れたものとひっそり静かにゆっくり過ごす。そんな些細な望みを捨て、自らの後に続くゆっくり達をゆっくりさせる事だけを誓って此処まで来たのだ。 それはゆっくり達にとってはすばらしい事だ、……だが、っとぱちゅは思う。 それは本当にマザーれいむが背負うような事だったのか、他に責任を負うべき者達がいたのでは無いのかと。 『ぱちゅ、ぱちゅ』 「……むきゅ!?」 マザーの揉み上げに優しく叩かれ、ぱちゅは思考の海に沈んでいた事に気づいた。 『もう。こんな時にぱちゅはゆっくりしすぎだよ~』 「むきゅ、ごめなさいれいむ」 考えていた事のためか少し表情が暗いぱちゅ、そんなぱちゅをマザーは揉み上げを使って優しく撫でる。 『ぱちゅ、れいむは此処まで来た事を後悔してないよ』 「れいむ……」 『さぁ、ぱちゅ。此処からが本番だよ? ゆっくりしてないでドンドン攻めるよ!!』 「むきゅ、了解よれいむ! 奇襲部隊、行動開始!!」 高らかに叫ばれた号令と共に、部隊の後ろに控えていたうーぱっく達が空を舞う。 参謀ぱちゅりーが指揮する舞台、その第二幕が開かれた。 ■ その頃両軍がぶつかり合う前線、兵士鬼意惨の第二陣が加わり、ゆっくりを少しずつ押し始めていた。 ゆっくり達は倍近い数を持って食いついてくるが、手足があるという差や、スタミナなどの違いからジリジリと押されていった。 いける、勝てるっと誰もが思った、その時だった…… 『うー…………』 場に似つかわしくない可愛らしい鳴き声が戦場に響き、同時に太陽の光が僅かばかり欠ける。 「一体なんだ……」 不審に思い空を見上げた兵が言葉を失う。 ゆっくり達の方の空、その一部を埋めるように黒い影が此方に移動して来たからだ。 その影の正体はすぐに分かった。 ダンボール箱のような体に羽と笑顔の目と口がついた不気味なゆっくり、うーぱっくの一群であるであった。 うーぱっくはゆっくり達の移動や運搬役として活躍する事の多い種である。 そんな種が戦場に出てくる理由、それに気づいた各部隊の隊長鬼意惨達はすぐに声を張り上げて指示を出す。 「上から何か落としてくるぞ! ゆっくりを相手にしながらでは防げん、一旦後退!!」 その言葉に従い後退しようとする兵達、だがそうはさせまいとゆっくり達が足元を狙って飛び掛って来る。 「ひへはいへ、ひゅっひゅりしへっへねぇ!!(にげないで、ゆっくりしてってね!!)」 「く! この野郎!!」 足を囚われこける者など撤退の遅れるものが続出する中、うーぱっく達の第一陣が兵の頭上へと到達する。 汗だくになりながら頭上に到達したうーぱっく達は、腹部であろう底の部分を開き、箱の中に入れていた物をばら撒く。 ばら撒かれたのは鋭く尖らせた大量の小石であった。 ある程度の高さから落とされた小石たちは、最低限の部分を守る程度の鎧しか着ていない兵達には十分厄介な品であった。 露出部分の各所を打ち、時の尖らされた部分でその肉を傷つけていく小石。 また兵達よりもしっかりとした鎧を着込んでいる隊長クラスの者達も、その鎧の各所に小石が入り動きを阻害される者達が続出していた。 「いまがちゃんすだよ! ゆっくりしないでとつげきするよ!!」 混乱する兵に対して、今がチャンスと兵ゆっくり達が追撃をかける。 続いて上空にうーぱっくの代二陣が頭上に到着。だがそのうーぱっく達が乗せているのは、今度は小石ではなかった。 「ゆゆっ! みんなかくごはいいね!!」 「「「ゆー!!!!」」」 うーぱっく一匹につき四匹のゆっくり達、彼らは皆飾りを取り『けっし』と書かれた鉢巻を巻きつけていた。 目的地点についた事を確認して叫びを上げ、そして目標である兵士達の一団に向けてうーぱっくから飛び降りていった。 「今度はな……ぐぎゃ!?」 「ゆげぇ!!」 追い討ちをかけて来た兵ゆっくり達に気を取られていた兵達に、上空から己を弾丸としたゆっくり達がぶつかって行く。 それなりの体積と重量のある物体が落ちてくるのだ、当たれば人間といえどただではすまない、ゆっくり達はその身を犠牲に戦果を上げていく。 また飛び散った餡子が顔や大地に飛び散り、視界や足場をどんどん奪っていった。 空と陸の波状攻撃によって、戦局がゆっくり側へと傾き始めていく。 もっとも人間側の応援が駆けつけ、態勢を立て直されればすぐにでもゆっくり達は押し返されるだろう。 故に本陣の参謀ぱちゅりーは次の一手を打つ。 「むきゅ! まりさ、出番よ!!」 「ゆっくりりょうかいだよ!!」 参謀ぱちゅりーの言葉に従い、マザーれいむ達の後ろに待機していたスィーに乗ったまりさが前に出る。 同時に、その後ろに用意されていた成体のゆっくりなら5~6入ろうかという大きな檻付きのスィー4台が、まりさを追うように走り出す。 護送スィーと呼ばれるこれは罪を犯した囚ゆっくりを乗せるために作られた乗り物である。 そしてその檻の中からは「ふぉぉぉぉぉぉぉ!!!」っという、高ぶった気味の悪い声が聞こえてきていた。 「ゆゆっ! みんな、すぃーがくるよ!! さくせんどうり、いちどひきあげるよ!!」 本陣からスィーが走ってくるのを見た前線のゆっくり達は、一度攻めの手を止めて本陣へと後退し始める。 鬼意惨達もゆっくりを追おうとするが、地を埋めるゆっくりや仲間の死体、息のある者の救援のためすぐには動く事が出来ない。 そうしている間にも、撤退するゆっくり達の間を抜けて、スィーまりさと護送スィーが前に出る。 前方に他のゆっくり達の姿が無いのを確認したまりさは、覚悟を決めて高らかかにソレを放つための言葉を上げる 「ゆゆっ! おりさん、ゆっくりしないでひらいてね!!」 まりさの言葉を合図に護送スィーの檻が開く、そして中からソレが姿を現した。 「「「「「「ふおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!」」」」」」 血走った目に息の荒い醜いゆっくり、レイパーありすが開放された事への歓喜の雄叫びを上げる。 解き放たれた彼女達は普通のありすと違い、凶悪のドゲの付いたアーマーを着せられていた。 これはマザーれいむの元に留まっている客将、ゆっくりにとりが作り上げた軽合金製のアーマーである。 「ありすたち、まりさはこっちのいるよ! ゆっくりしないでおいかけてきてね!!」 「「「「「「ふおぉぉぉぉぉぉぉ!! とかいはなまりさがさそってるなんて、たまらないわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」」」」」」」 プリンとお尻を振り振りして挑発し、スィーで一気に戦場を駆けるまりさと、それを追うレイパー軍団。 指揮官のいる真紅の鬼の旗を目指し、特攻ゆっくり部隊が土煙を上げながら今戦場を駆け抜ける。 つづく…… 『あとがき』 ただの思いつきと勢いだけで書いてみました。 今回ありす種がレイパーしか出せず、ありす好きの方々は申し訳ないです まともな子もいますが、前編では出せませんでした。 読んでいただいた方々に感謝を、不快に思われた方申し訳ございません。 人間側の逆襲なるか、ではまた後半で。 過去作 『ふたば系ゆっくりいじめ 291 ゆっくりの「ある」日常、その一日』 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る ↓×1 巨体に銃器は通じないだろう。見えない中枢餡を撃ち抜けるなら別だが。 重機、軍隊、科学兵器、軍隊、ラムネ、香辛料、地形効果、火、水、etc... これらを1つも使用してない時点で、夢オチ妄想に相違ない。 ※単純な物理攻撃だけだから、ゆっくり側の妄想だろう。 -- 2018-01-10 01 23 54 鬼井山が銃器を使わない理由がわからない(´Д`) -- 2011-07-23 18 19 45
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・ぺにまむ、うんうん、しーしーが少し。 ・酷い目にあわないゆっくりも少し。 ・ノリだけで書いたのがほとんど。 ・それでももしよろしければ、どうぞお読みくださいますよう。 「うー!うー!」 「ゆゆっ、うーぱっく!あそこにおろしてね!」 空から畑へと降りてきたのは、ダンボールに羽の生えた謎の生物?、うーぱっく。 そして、6匹のうーぱっくからゆっくり達がぞろぞろと出てきた。その数、およそ20匹ほど。 まりさ、れいむ、ありす、と言った、どこにでもいる、なんの価値もないゆっくりだ。 ゆっくりが畑に来る理由など一つしかない。人が育てた作物を奪うためだ。 「ゆゆぅーん。こんなおいしいおやさいさんをひとりじめなんて、にんげんさんはほんとずるいんだよー」 そんなことを言いながら、その場で大根を齧り出すゆっくり。 一方、うーぱっくはそんな光景をにこにこと眺めている。 別に、野菜を齧るゆっくりがかわいい、などとは思っていない。契約の報酬を待ちわびているのだ。 「うー!うー!」 待ちかねた一匹のうーぱっくが、ゆっくり達に催促を始めた。 「ゆっ?うーぱっくなにしてるの?もうかえっていいよ」 まだいたのか、とでも言いたそうに、れいむが言った。 「ここまではこんでくれてありがとうなんだぜ!かんしゃしてやるからありがたくおもうんだぜ!」 「とかいはのありすをはこべてうれしかったでしょう!これからもたまにははこばせてあげるわ!」 野菜をぼりぼり食い散らかしながら、口々にそんなことを言っている。 もちろん、うーぱっくとしては堪らない。重大な契約違反だ。契約をなにより重んじるうーぱっくは、 一斉に抗議の声を上げた。 「う?うー!うー!ううー!」 これはどういうことだ。運ぶ見返りとして野菜を少し渡す、という契約だったではないか。すぐに 契約を履行しろ。と、必死になって叫んだ。 「どぼじでぞんなごどいうのおおおおぉぉ!このおやさいさんはでいぶたちのものでしょおおおぉぉ!」 「れいむのいうとおりなんだぜ!これはまりさたちがみつけたから、まりさたちのものなんだぜ!」 「かってなこといわないでよ!このいなかもの!」 もちろん、うーぱっく達もそんなあまりにも身勝手な言い分などに負けるわけにはいかない。 「ううー!?う?うー!うー!」 最初に言ったことをもう忘れたのか?とにかく、自分達は契約を果たしたのだ。そちらも破らずに守れ。 だが、契約相手のゆっくりたちの餡子脳からは、契約内容など野菜を食べた瞬間、きれいさっぱり消滅している。 ああ、まただ。また契約を一方的に破ってきた。何故こいつらはこうなのだ? うーぱっく達が心中で嘆いた、その時だった。 突然、ゆっくりとうーぱっく達に何かが覆いかぶさってきたかと思うと、身動きがとれなくなっていた。投げ網である。 「ゆゆゆゆゆゆっ!な、なんなんだぜぇ!?」 「うー!?うううううー!?」 「やれやれ、ようやく捕まえられたか・・・」 いつの間にか、すぐ傍に人間達が立っていた。両者とも言い争いに夢中でまったく気が付かなかったのだ。 「にににににににげんさん!?まりさたちはわるくないんだぜ!うーぱっくたちがかってにはこんできたんだぜ!」 「そそそそそそそうだよ!それにれいむはにんっしんしてるんだよ!やさしくしなきゃいけないんだよ!」 男の一人が黙ってその顎の膨れたれいむを取り出すと、ちょうど顎の中心辺りに、尖った木の棒をぴたりと押し当てた。 「ゆっ!?なにするの?きこえなかったの?れいむにはかわいいあかちゃ・・・がああぁぁぁ!」 れいむの絶叫が響いた。男がゆっくりと、だが力強く、正確に、れいむの顎に木の棒を突き刺していったのだ。 「あがっ!ゆぐっ!いだっ!やべっ!ってぇ!」 「ゆうっー!?じじいいぃぃ!まりさのれいむになにするのぜぇぇぇ!?」 最初にうーぱっくに責任転嫁しようとしたまりさが叫び、体当たりしようともがいていた。面倒なので、上から強めに踏んで 動けず、喚けずにしておく。 もちろん、男は止めない。少しづつ、少しづつ、れいむの身体に木の棒がずぶずぶとめり込んでいく。 他のゆっくりもぎゃあぎゃあ喚いていたが、他の人間にぼこぼこに叩かれると、大人しくなった。男を止めるものは、もういない。 そしてようやく、れいむは男が何をしようとしているのかを悟り、今まで以上に激しく叫んだ。 「やべでやべでやべでええぇぇぇ!そごにはっ!あがぢゃんがああぁぁぁ!」 男は棒の先端に、今までとは違う物があるのを感じた。そして、ちらりとれいむの顔を見る。 「や・・・やめて、ね?かわいいかわいいれいむのあかちゃんなんだよ?ひ、ひどいこと・・・しないで・・・ね?」 れいむは恐怖と痛みに引きつった汚らしい顔をいっそう汚らしく歪めて、媚び笑いを浮かべていた。 ずぶり。 男は棒を一気に捻じ込むことで、れいむに答えた。れいむの子供は、断末魔も上げられず、生まれる前に死んだ。 「これでもう、お前はただのゆっくりだな」 冷たい声でそう言うと、男は絶望しきった表情で目を見開いているれいむを地面に叩きつけ、殺した。 「ーーーーっ!?」 足元のまりさが声にならない声を上げ、狂ったように暴れている。 「ふん。ゲスもゲスなりに、家族を殺されれば怒るのか・・・まあ、安心しろ」 そう言うと男は、まりさを取り出し、その脳天に木の棒を突き刺した。 「ゆぐべぇぇ!?」 さらに突き刺さった棒をぐちゃぐちゃと、荒っぽくかき混ぜる。 「あがががががっ!やべ・・・で!ばりざの・・・あんごじゃん・・・まじぇにゃ・・・まべぇにゃびゅでゅべぇ・・・」 中枢餡と周囲の餡が混ざってしまい、ろれつが回らなくなり、めちゃくちゃな方向に目を向け、口をぐにゃりと歪め、 身体中からあらゆる液体を振り撒きながら、まりさは死んだ。 「よし、後はみんなで好きにしてくれ」 男がそう言うと、周囲の人間は手際よく恐怖でがたがたと震えるゆっくりを籠に詰め込み、運んでいった。 「さて・・・君達には少し話がある」 ゆっくりが全て運ばれてから、れいむとまりさのみじめな末路を見て震えていたうーぱっくに男は話し掛ける。 先ほどゆっくり達に話し掛けた時とは違い、静かではあるが、落ち着いた声と態度だった。 一方、連れて行かれたゆっくりはと言うと・・・ 「はへふぇ・・・ほふ・・・はうははひへぇ・・・」 「んん~?何を言っているのかわからんなあ~?」 そう言って、既に全ての歯が砕けてしまったまりさをぼこぼこにする者。 「やべ!っで!こん!なの!とが・・・いびゅやあぁ・・・」 「ぶふぅー・・・このカスタードの詰まったゴミ袋めが。お前らは黙って食われてりゃよかったんだよぉ」 じわじわとありすの中身のカスタードを搾り取り、うまそうに飲んでいる者。 「ゆぐぎゃあああぁぁぁ!やべでよおおぉぉぉ!あがぢゃんうべなぐなっぢゃうよおおぉぉぉ!」 「はっはぁー!どうせ死ぬんだからもう生む必要なんてないんだよー!わかってねー!」 れいむのまむまむのあるところに焼けた鉄棒をねじ込み、生殖機能を破壊している者。 「あああああああああぁぁ!やめてええぇぇ!これいじょうあんこさんとらないでええぇぇ!」 「くっくっくっ、スプーン何杯目で死ぬかなー、っと」 れいむの頭頂部を切り飛ばし、スプーンで少しづつ餡子をすくっていく者。 「もうむりでずうううぅぅ!ゆるじでぐだざいいいいいぃぃ!あづいいいいぃぃぃ!」 「ほらほらー、あんまり暴れると火達磨だよー。どうせ揚げ饅頭になるんだけどねー」 煮えた油にまりさを放り込み、押さえつけている者。その油には笹船で蝋燭を浮かべている。倒れれば当然、火達磨である。 彼らのほとんどはゆっくりに実際に被害を受けた者で、ここぞとばかりにゆっくりに対する日頃の鬱憤を晴らしている。 無論、中には純粋にゆっくりを殺すのが楽しくてやっている者もいるが・・・。 まだ殺されていないゆっくりはその光景を、がたがたと震え、涙とよだれとうんうんとしーしを垂れ流して眺めていた。 「こ、これだけころしたんなら、もうじゅうぶんだよね?ま、まりさたちはたすけてくれるんだよね?」 一匹のまりさの問い、というよりも哀願に、見張りの村人はゆっくりと、余裕を持って答えた。 「駄目だ」 「「ゆ゛っぐり゛いいいぃぃぃぃ!!!」」 鬱陶しく、忌々しい生首饅頭共の絶望の叫びを聞き、村人は心地良さそうに目を閉じた。 さて、村に侵入したゆっくりが皆殺しにされてから、数ヶ月が経った頃・・・ 「れいむたちをにんげんさんのはたけにゆっくりはこんでね!そしたらおやさいさんをわけてあげるよ!」 「うー!うー!」 あの時と同じように、ゆっくりの群れがうーぱっくを使って畑に侵入しようとしていた。 契約を結んだ以上、うーぱっく達に断る理由はない。上部を開き、二十匹程のゆっくりに乗るように促す。 さっそくうーぱっくに乗り込むゆっくり達。全て乗り込んだのを確認して、うーぱっくは一斉に飛び上がった。 「ゆっひっひっひ・・・ついたらおやさいさんをたくさんむーしゃむーしゃできるよ・・・」 このれいむを中心とした群れは、この時点で既に野菜を独り占めする腹積もりだ。以前の契約を忘れたゆっくり達より 賢くはあったけど、性質の悪いゲス共でもあった。 無論、うーぱっく達はそんなことはわからない。ただ契約を果たすだけである。 やがて、村が眼下に見えてきた。うーぱっく達はお互いに目配せで確認すると、目的地へと降下していった。 「じゅるるるるー・・・まちきれないよぉ・・・」 意地汚くよだれを垂れ流しながら、群れの誰もがが今か今かと待ち構えていた、その時だ。 気が付けば、全てのゆっくりが、空に投げ出されていた。そして、あっという間に頭から地面に落下した。 「ゆべっ!」 「ゆぐぇ!」 「ゆぎゃっ!」 突如頭を襲った激痛に呻きつつ、辺りを見回す。幸い、餡子を吐いたものはいたが、潰れたものはいない。 「ぷくーっ!いきなりなにするの!ゆっくりしないでおりてきてあやまってね!」 そんなことを一通り喚き散らしてから、もう一度辺りを見回す。そこは畑ではなく、柵に囲まれた何もない場所だった。 「ゆーっ!うーぱっく!やくそくをやぶったね!れいむおこったよ!」 「いいや。うーぱっくたちはきちんと約束を守ってくれたよ?」 「「ゆゆゆゆっ!?」」 ゆっくり達が慌てて振り向くと、人間が一人、ゆっくり達を見下ろしていた。 さらにしばらくすると、続々と人間達が集まってくる。 ここに来て、さすがに餡子脳も自分達が騙されたことを理解した。 「ゆぎいいいぃ、だましたなあああぁぁ!きたないじじいどもとうーぱっくは、ゆっくりしないでしねえええぇぇ!」 「自分達もうーぱっくを騙したくせに、よくもまあ言えたものだ。どうせお礼を渡す気などなかったんだろう?」 「ゆぐぅ!?」 図星を突かれ、うろたえるゆっくり達に、男は無情に宣告する。 「さて饅頭共。お前達はこれから全員、我々がゆっくり殺してやる」 「いやだあああぁぁぁ!ゆっくりさせてええええぇぇぇ!」 「ほかのれんちゅうはどうでもいいから、まりさはたすけるんだぜえええぇぇ!」 「とかいはのありすをころすつもりなのおおおぉぉ!たすけなさいよいなかものがああぁぁ!」 「断る。ゆっくり、死ね」 「「ゆ゛っぐり゛いいいぃぃぃぃ!!!」」 いつもと同じ絶望の叫びを上げ、そしていつもと同じように、ゆっくり達は運ばれていった。 ゆっくり達がいなくなり、男はいつものようにうーぱっくに礼を言った。 「今回もありがとう、うーぱっく。今報酬を用意しているから、とりあえずこれでも食べていてくれ」 男が籠から出したのは、形が悪かったり、少し痛んでいたりする野菜だった。そんなことはおかまいなしに、 うーぱっくたちはうれしそうに食べ始める。 「やはり君達は信用できるな。これからも我々との契約を続けて欲しいものだよ」 「うー!うー!ううー!」 それはうーぱっく達にとっても同じことだ。 この人間達とうーぱっくは、あのとき契約を結んだのだ。 うーぱっくはゆっくりに人間の土地に運ぶよう頼まれたら、例外なく人間があらかじめ指定した場所に運ぶこと。 人間はゆっくりを運んできたうーぱっくに、野菜や果物、さらにはゆっくりの餡子を渡すこと。 ゆっくり達としか契約してこなかった頃は、うーぱっく達にとっては満足の出来る状態ではなかった。 なにせ契約を守ってくれるゆっくりは、せいぜい半分がいいところだったからだ。大抵は忘れるか、先ほどの ゆっくりのように最初から履行する気などないのだから。 その点、人間は契約を必ず守ってくれた。今もこうして野菜をくれたし、間も無くお礼の品を運んできてくれるだろう。 うーぱっくは満足していた。うーぱっくにとっては、契約が全てだ。守るものは誰であろうと善であり、破るものは誰で あろうと悪だ。それがうーぱっくの価値観だ。 一方の人間側も、この契約に満足していた。空からのルートを潰したことで、ゆっくりの害が格段に減ったからだ。 対価も本来使い物にならないものや、そこらでいくらでも補充できるものだから、ほとんど懐は痛まない。 男はしばらく様子を見てから、可能ならばうーぱっくに人間間での輸送もやってもらおうと考えていた。うまくすれば、 ちょっとした村の副収入にもなるかもしれない。それなら今以上の報酬を出してもいいだろう。 だが、もしうーぱっくがあまりにも不釣合いな対価を求めてきたら? 自問して、男は心の中で呟いた。 そのときは契約を破棄し、この辺りのうーぱっくを全滅させるだけだ。そうすればもう、ゆっくりだって うーぱっくを使えない。少なくとも元の状態よりはいいわけだ。 人間にとって契約は重要なものだ。だが、全てではない。 願わくば、そのことをうーぱっくが知るときが来ないようにと、男はそっと祈った。 ※以前書いた『草刈り』を読んで下さった方、感想を下さった方、誠にありがとうございました。 ※これは正直、「「ゆ゛っぐり゛いいいぃぃぃぃ!!!」」って言わせたかっただけです。 ※あと、一部虐待の台詞の元ネタはうろ覚えです。完全にノリだけで書きました。申し訳ありません・・・
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注意! ※この作品にはゆっくりしか出てきません! ※作風柄、虐待描写はありません! ※賢いゆっくりが出ます! ある所に、広く資源に恵まれた島があった。そこは、周りが海に囲まれており、全くの無人。 そんな島にある日、数個の影が舞い降りた。 『『『『うー!うー!』』』』 うーぱっくである。運んでいたのはもちろん…… 『ありがとうね!うーぱっく!』 『おれいはそこにはえてるおやさいをもっていってね!!』 『ここはほんとうにとかいはなゆっくりぷれいすね!!』 内訳はゆっくりまりさ、れいむ、ありす、ぱちゅりー、みょん……ゆっくりである。 捕食種を除いたスタンダードな種がそれぞれ一匹ずつだ。 それぞれが、新天地を目の当たりにしてゆっくりしている。 彼女らは以前、他のゆっくり同様に山で暮らしていたが、人間による開発によって居場所を奪われてしまった。 そんな節に、先程のうーぱっく達に出会い、この島のことを聞き出したのだ。 『ゆゆ!まりさたちをそのしままでつれていってほしいんだぜ!!』 群れのリーダー格であるゆっくりまりさが頼むと、運ぶことが生きがいのうーぱっくである。 快く承ってくれた。そこは話に聞くよりも広く、食糧、寝床の洞窟、その他資源もろもろ……何一つ足りないものは無かった。 それに加え、何よりも魅力的なのが 『みてよまりさ!ここのしまはどすたちにまもられているよ!!』 『むきゅ!さいこうのゆっくりあいらんどね!!』 島は海岸、森、山から成っていた。今ゆっくり達がいるのは、山の頂上の開けた草原である。 そこの四方にそれぞれ祭壇の様なものがあり、そこにドスまりさを模した石造が建っていた。 こんな何から何までゆっくりのために設えた様な島だ。気に入らぬ者などいるはずもない。 『さっそくおうちをつくってゆっくりしようね!』 『きょうはいどうでつかれたから、あしたからたんけんするんだぜ!!』 リーダーまりさを筆頭に、補佐役のぱちゅりーなどが指示に当たった。すぐに巣の目処が立った。 この草原の四方、例のドス像のそばにそれぞれ一つずつ穴が開いていた。 入ってみれば、なんと穴は全て中で繋がっており、ちょうど草原の中央部に当たる場所まで開けている。 さらに驚くべきことは、地下であるにも関わらず外と変わらぬ草が同量生えている。 石造りの台座には、こんこんと清水を湛えている。 さらには燭台まであり、ヒカリゴケにより、優しい光に照らされている 雨水の侵入を防ぐ入口を塞ぐためのフタもある。 もうここだけで一生分ゆっくりできるんではないかという程の環境であった。 『ゆがーん!』 『ほっほんとうにすごいゆっくりぷれいすなんだぜ……』 『むっむきゅっきゅきゅきゅ』 反応の仕方はそれぞれ違えど、みんな初めて喜びの感動にショックを受けていた。 それからの生活はまさにゆっくり達の理想を絵にした様なものであった。 海のど真ん中にある島のため、天敵となる野生動物はいない。 食べ物である草や果物は無尽蔵に群生している。 何よりあの自然を破壊し、平穏を乱す人間がいないのだ。 唯一気掛かりがあるとすれば…… 『こんなにゆっくりしているのになんでどすはないているんだぜ?』 いつだったか、豪雨によって数日閉じ込められた時のことである。 もちろん、その間に不自由したことは無い。 元からある蓄えに加え、食糧をため込んでいたし、ゆとりを持っていた。 普段は震えて過ごすこの雨も、いまでは愉快で軽快な音楽に聞こえていた。 雨上がり、リーダーまりさが先立って外に出た。 その時に、ふとドス像を見るとなんと涙を流しているのだ。 当初は驚いたが、なんてことは無い。 像の帽子部に水が貯まるようになっており、鍔を伝って目から涙を流す様に見えているのだ。 見回ってみれば、四方の像の全てが泣いていた。 その涙は台座の隙間に吸収され、一種のダムとなっており地下の台座へと繋がっていることが後に分かった。 『このきをきってむすべばいかだになるんだぜ!』 『えだにはっぱさんをはればおーるになるわ!!』 ゆっくり達は生を謳歌し、すくすくと育ち、自然とのふれあいから知恵をつけた。 昨日は木と木を擦りつけて火を起こす道具を作った。その前は釣り竿。 そして今日はいかだを作った。少し島から離れた場所で釣りをし、収穫も上々だ。 明らかに、他の群れとは違う進歩の仕方をしている。 障害が極端に少ないため、全身全霊をかけてゆっくりすることが出来る。 もっとゆっくりしたい! こうすればゆっくりできるよ! むきゅ!このつたはべんりよ! どうぐをつくろうね! おりょうりをおぼえたわ! まらっ☆ちーんぽ!! それからもゆっくりし続け、だんだんと数を増やしていった。 比例するように文化が発達していき、今では生簀をつくり魚を保有するまで至った。 ゆっくりの寿命というのも、環境次第の様である。 第二世代、第三世代と続いても、最初の群れの誰一人欠ける事無く過ごしている。 ある日、リーダーまりさはドスまりさへと成長した。 『どすがいるかぎり、みんなをもっとゆっくりさせるよ!!』 まず手始めに、増えた仲間のために、森を切り開き、整地し、新たな巣を作った。 『ごはんももっとひつようになるね!』 うーぱっくに頼み、数個の羽化寸前の鶏卵を取り寄せ、家畜として飼い始めた。 『もっとべんりなどうぐをいっぱいつくろうね!』 獲物を確実に捕えるため、捕食種も撃退可能な武器を作った。 嵐が来ない限り、転覆しない遠泳漁の船を開発した。 もっともっと! まだまだ! さらにさらに! ………… ドスが思いつく限りのゆっくりを提供した。最早、自分が出来ることは見守るくらいだろう。 既に自分以外の第一世代ゆっくりは、みな天寿を全うした。あの若かりし頃が懐かしい。 そういえば、何で人間はあんなにゆっくりできない生き物なんだろう…… ドスまりさは海岸から夕陽を眺め、一方的な優越感に浸り、微笑みを湛えていた。 『どすももうつかれたよ』 ドスまりさはゆっくりとした生涯ここで終えた。 ゆゆ?どす~どこ~!? かいがんでねてたわよ? どすのぞうがあるんだぜ! うるさいな……どすをよぶのはだぁれ? あれ?うごけないよ? そうか、どすはしんじゃったんだね。 でもむれのみんながみえるよ。 こえもきこえる……みんな、もうすこしだけどすにみまもらせてね!! 第二世代のゆっくり達がドスの不在に気付いた。 それを受け、第三世代のゆっくり達が海岸で探していたところ、新たなドス像を見つけた。 みんなは直感的に、これが今まで自分達を導いてくれたドスであると分かった。 今までありがとうと礼を述べている。 『こんなところでのざらしにしていたら、どすがかわいそうだよ!』 『むきゅ!そうだわ!やまのうえのどすぞうにくわえてあげましょ!!』 『そうすればどすもゆっくりできるね!!』 そこで、ドス像をどう運ぶかが議論された。結果はすぐに出た。 まずは木を伐採し、ドス像が乗る程度の板を作り、それに乗せる。 それからまた木を伐り、“コロ”として板の下に入れては引っ張りを繰り返すという方法だ。 海岸から山頂の草原まではキッチリ整備されていたし、置く場所も四方のドス像の真ん中に決めた。 『『『ゆーしょ!ゆーしょ!』』』 『 おちびちゃん!はやくころをもってきてね!!』 『ゆっくちりかいちたよ!』 群れ総出で作業したおかげか、半日程で全ての工程を終えた。 結果は大成功! その後、みんなでこの日を何かの記念日にして、ドンチャン騒ぎした。 新たにリーダーとして任命されたのは、ぱちゅりー種である。 生前のドスから最も知識を受け継いだとされているからだ。 『むきゅ!どすのときとおなじようにすればしっぱいしないわ!!』 確かにやることは何から何まで真似ていた。 しかし、何か変じゃないか? どこかで間違えた!? いいやそんな訳が無い! ドスと同じことをしているんだ!! それからしばらくしてから、過ちに気付いた。 『どぼじできさんがぜんぜんないのぉぉぉおおお!?』 『くだものさんもみんななくなってるんだぜ!!』 『おながぢゅいだよぉぉぉおおお!!』 結果を言ってしまえば、島から植物という植物がごっそり無くなってしまった。 事の始まりは、ドス像を運ぶために大量の木を伐採したことから始まった。 以前までは、ドスが植物の再生するまでを計算したギリギリのラインで伐採していたのだ。 木材としての木が無くなれば、作物の木を代用し、食料の供給源を無くしていった。 漁に出よう! 船が故障してしまった。直すための材木はどこ? 狩りをしよう! 獲物となる動物はどこ? うーぱっくに頼んで運んでもらおう! 払う報酬は何? 八方塞がりとなって、ぱちゅりーは誤りに気付いた。 しかし、時すでに遅し。 『ごべんばざい゛い゛い゛ぃ゛い゛い゛い゛い゛!!』 『ゆ゛る゛じでぇ゛ぇ゛ぇ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!』 『どぼじでぇ゛ぇ゛ぇ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!?』 『どずどおなじごどじだだげだのに゛ぃ゛ぃ゛い゛い゛い゛い゛!!』 『ゆ!うるさいよ!!むのうなりーだーはしね!!』 『まえまえからいばってるおまえがきにいらなかったんだぜ!!』 『りぇいむをゆっくちちゃちぇにゃいむにょうはちんでね!!』 リーダーぱちゅりーとその家族は公開処刑された。 群れのみんなから投石の雨を浴びて、物言わぬ死体となった。 これで、群れの一応の溜飲は下がった。 しかし、それからは、殺伐とした生活が始まった。 『やめてね!そのにわとりさんとひよこさんはれいむのぶべぇぇええ!!』 『うるさいんだぜ!まりささまにたべられたほうがこいつらもしあわせなんだぜ!!』 自分の家族以外はみんな敵、戸締りをしていないと家畜を奪われた。 『ちょうどいいんだぜ!おまえのかぞくをまびきしてやるんだぜ!!』 『わがらにゃぁじゃべちゅびゅうぶうううう!!』 『ぢっぢんぼっぢんぼぉおおおおおおおおおおおお!!』 『ぺ~ろ♪ぺ~ろ♪しあわせ~なんだぜ!!』 間引きと称し、子供を殺されて食べる者。 『んほぉぉぉぉおおおおおおお!すっきりー!!』 『びっびやだぁああああ!!ずっき゛り゛ぃ゛い゛い゛!!』』 混乱に乗じて、己が欲望のままに動く者が現れた。 ものの三日間この阿鼻叫喚は続いた。 そこに残ったのは、たくさんの死体と一匹のゆっくりだ。 『どずぅぅはやぐばりざざまをだずげろぉぉ!ごのやぐだだずぅぅうう!』 生き残りのまりさは既に満身創痍、死ぬのも時間の問題だろう。 恐らくは、最後の力を振り絞って中央のドス像へと呪詛を吐いている。 ドスは像となってから、今までを一部始終全て傍観していた。 こいつらはなんだ? こんなのゆっくりじゃない! じゃあなに? まてよ……どっかで見たことがあるぞ…… そして一つの答えに辿り着いた。 そうか…… どすはじぶんでゆっくりをゆっくりできなくしてしまったのか…… そう解釈すると、空から水滴が落ちてきた。 ポツリ……ポツリ…… 『あべざん!?ふらだいでね!ゆっぐりやんでね゛!!』 パタ、パタ、パタ 『ふるだっでいっでるでじょ!?ばりざざばのいうごどが』 ザ、ザーザー 『ぼがど…がら…りざだげ…………』 バシャバシャバシャバシャ!! 『――――――――』 最後の生き残りの声が聞こえなくなった頃、残されたドス達は涙を流していた。 後書き どうもお久しぶりケラ子です。 以前スレを覗いたとき、シリーズものの風潮がよくないよう見えました。 だからと言うわけではないのですが、リハビリがてら新たに書き下ろしてみました。 何か作風の幅がありませんかね? ちなみに、この作品は、実在する島の話をモチーフにしました。 分かる人はいるのかなぁ…… byケラ子 ケラ子の作品リスト ゆっくりいじめ系509 紅い弾丸 ゆっくりいじめ系601 ある新人ゆっくりーだーの話(前編) 制 無 ゆっくりいじめ系647 ある新人ゆっくりーだーの話(後篇) 制 共 無 ゆっくりいじめ系711 ある植物型奇形妊娠の話 ゆっくりいじめ系748 ある動物型奇形妊娠の話 ゆっくりいじめ系807 あるロボットゆっくりーだー達の話(前編) ゆっくりいじめ系844 あるロボットゆっくりーだーの話(後編) このSSに感想を付ける
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「ゆっくりありがとう!」 「これはおれいだよ!ゆっくりもっていってね!」 「またゆっくりしようね!うーぱっく!」 「うー!うー!」 赤みが混じり始めた陽の光が照らす湖畔の草原、そこからダンボール状の物体が上昇していく。 よく目を凝らせばダンボールが飛び立った場所に妙な装飾を施された饅頭が転がっているのが分かる。 ゆっくりれいむやゆっくりまりさ、ゆっくりみょんがうーぱっくにここまで運んで貰ったのだ。 にこやかな顔でうーぱっくからおりてきたゆっくり達は、スリリングな空の旅のお礼として相場よりも多目の果物をうーぱっくの中に残していた。 「うー!?うー!!うー!!」 「たのしかったからいいんだみょん!」 「ゆっくりもっていってね!」 「うー!」 予想以上の報酬を得たうーぱっくは満面の笑顔で湖の彼方へと飛び去っていく。 ゆっくり達はしばしの間、湖のほうを向いてうーぱっくを見送り、ゆっくりの貧弱な視力で追えなくなってから仲間の方へ互いに向き合った。 「もうおそいからゆっくりかえろうね!」 「そうだね!」 「ゆっくりたのしかったね!」 「むこうのどすはりっぱだったみょん!」 「まりさたちもあんなりーだーがほしいね!」 「ねー!」 一月に一回、会うことができれば良いといえるほど離れた場所に住む群れへと行ってきたゆっくり達は、次はいつ会えるかどうか分からない同種と思い切りゆっくりしてきたことを思い出して興奮していた。 そんな状態のゆっくり達は移動するには過剰なほど飛び跳ねながら森の奥へと消えていった。 家族や友人、仲間の待つ巣で長旅の疲れを癒し、「どす」から貰ったお土産を披露するのだろう。 そんな幸せそうに去るゆっくり達を見つめる瞳が茂みの中にふたつ。 ゆっくり達の姿が消えて暫くすると、そこの茂みがガサリと揺れた。 お約束のパターンで出てきたのは──「ゆっくりしていってね!」──ゆっくりまりさだった。 誰に宛てたか分からない独り言のような挨拶を放つという奇怪な芸当を見せたまりさは、先ほどの同種たちが消えた先を暫く見つめ、続いて湖の彼方に顔を向ける。 うーぱっくが飛び去った方向、当然だが明るい茶色の箱はとっくの昔に視認できなくなっている。 それでもまりさは湖の向こうを見続けた。 突然、まりさ以外のゆっくりが存在しない草原に妙な音が響き渡る。 まりさはおなかを空かせていた。 今日の狩に失敗したまりさは朝から何も食べていないから当然だ。 なるべくエネルギー消費を減らすため、茂みの中でゆっくりと昼寝をしていたまりさは、がやがやと騒がしい同種の声を聞き、食べ物を分けてもらえないだろうかと起きた。 しかし、まりさ種にしては引っ込み思案気味な彼女は結局巣に帰る仲間を見送るだけで動けなかった。 「ゆっくりながめたけっかがこれだよ!」といったところだろうか。 空腹のためにぼんやりとした表情で暫く黄昏ていたまりさ。 そのまま永遠にゆっくりするのかという勢いであったが、太陽が西の山の頂と重なり始めたとき、急に伸び上がり、次いで大声を上げた。 「そうだ!まりさもゆっくりをはこべばたべものがもらえるよ!」 祖先に多くのぱちゅりー種を持つ彼女はまりさ種の平均よりも身体能力が低めの代償として、まりさ種ではあり得ないほどの(一部のぱちゅりー種すら凌駕する)知性を持っていた。 その知性がまりさに自身の能力を生かして食料を得る方法をもたらしたのだ。 まりさは「水上を移動できるというまりさ種の能力でゆっくりを運び、報酬を貰う」という事を思いついたのだった。 思わぬ思い付きにはしゃぎ回ったまりさはもうすぐ日が落ちることにハッと気づき、慌てて巣へと帰っていった。 それから、まりさの困難と挑戦の日々が始まった。 自身の帽子には当然ながら自身しか乗れない。 自身が乗らなければ他のゆっくりを運ぶことなど不可能。 ゆえに、他のゆっくりを乗せるためのイカダが必要だった。 まりさが所属する群れのリーダーである通常サイズのゆっくりはまりさに協力してくれたが、それでもイカダの開発は困難を伴う物だった。 最初に提案されたのは板切れを利用する方法だった。 ゆっくりですら木が水に浮くことは知っていたからだ。 幸いにもリーダーの巣に補強財として人里のゴミ捨て場から調達された板切れが置いてあった為、それを流用することとなった。 結果から言うと散々な物だった。 チビゆっくりや子ゆっくりが乗る分には何の問題も無かったが、親ゆっくりが飛び乗った瞬間、当然というべきか板切れは思い切りひっくり返り、ゆっくりれいむの一家は哀れ水底へとまっしぐらに沈んでいったのだった。 この「不幸な事故」に、群れのゆっくり達は1日中泣き通した。 次に提案されたのはもう少し上等な方法で、オオオニバスの葉に乗るというものだった。 その葉を小さい頃に飛び石として池を渡ったことがあるゆっくりが提案した方法だ。 成体でも乗れるかどうか確かめるため、ゆっくりの群れはガヤガヤと騒ぎながらオオオニバスの群生地へと移動した。 結果は前回よりはマシなだけだった。 目の前でゆっくりれいむが急速に沈むのを見ていたゆっくりみょんは、そろりそろりと慎重に葉の上へと体を移した。 ゆっくりみょんが完全に葉の上に乗った瞬間には歓声があがった。 暫くはそうやって騒いでいたのだが、皆あることに気がつき始めた。 ──どうやってみずうみまでもっていくんだろう…? 何とか移動させようと5匹のまりさが帽子に乗った状態で葉を引っ張ったり押したりしたが、ある程度は動くものの、ある程度以上には何かに引っ張られて動かないという事が分かっただけだった。 水面より上ではどこにも繋がってない様に見える以上、水中で繋がっているというのはゆっくりでも分かる。 問題は水中に潜れないゆっくりがどうやって切り離すかということだった。 結局、どうしようもないという事になってこの案は廃された。 3つ目に提案された「死んだゆっくりまりさの帽子を使う」というのはハナからダメだった。 まりさ種を殺して帽子を奪うなど論外であったし、寿命などで普通に死んだまりさの物にしても家族が許さないからだ。 「イカダ」の件が解決を見ないまま1週間が過ぎ、餡子脳の限界をゆっくりと感じ始めた頃に一つの光明がもたらされた。 何か使える物はないかと足しげく人里のゴミ捨て場に通ったまりさの努力は報われた。 ゆっくりがこんな所で何を探しているのだろうかという人間の視線を背に受けたまりさが発見した物体。 「これならのれそうだよ!」 「ゆっくりもっていこうね!」 それは薄汚れた白い箱、大きさの割にやたらと軽く、ゆっくりまりさでも運べそうな程だ。 3つ以上の数を数えられないゆっくりの感覚で、大量に捨てられていたそれを早速運び出す。 4匹で来ていたまりさ達は、その物体に都合よく取り付けられていた紐を加えて引きずる様に持ち去っていった。 その様子を偶然眺めていた人間は、妙なことをするゆっくりだ、と疑問を覚えたがしかし、いらない物を持っていくのに文句など無くすぐにその事を忘れた。 その白い箱は偶然に外界から入ってきた発泡スチロールの箱だった、まりさが知る由も無かったが。 通常サイズの成体ゆっくりがぎゅう詰めで8体も乗れる(2x4で長方形に乗る)その白い箱。 それを利用したゆっくりまりさによる水上輸送は直ちに開始された。 初期こそ速達性と利便性で勝るうーぱっくの輸送よりも不便だと見られていたが、一度に大量のゆっくりを運ぶことができると知られてからは、湖の対岸同士や湖の中に浮かぶ小島への輸送に大活躍し始めた。 何せまりさが箱を1つ引っ張ると、うーぱっく4匹と同じだけ運べるのだ。 家族毎や群れ毎といった移動手段として重宝された。 運ぶ量が多いために報酬の野菜や果物、木の実といった食べ物を大量に獲得でき、まりさたちの群れはこの世の春を謳歌していた。 まりさがこの水上輸送を思いついてから1月が経った頃には、箱を前から引っ張ってゆっくりと岸を離れるまりさや、逆に後ろから引っ張ってゆっくりと減速しつつ岸へ近づくまりさを、湖のあちこちで見ることができるようになっていた。 それだけ目立つ状況こそが不運を呼んだ、後にそう語られている。 湖の近くに住む妖精の間で一時期流行っていた遊びがある。 ゆっくりを湖へ放り投げて飛距離を競うという物である。 気まぐれな妖精の間にあって比較的長続きした方に入るのだが、それでも何時しか誰もやらなくなっていたその遊び。 まったく珍しい事に、それが最近また流行り始めたのである。 形こそ少々変わっていたが、紛れも無くゆっくりを投げるあの遊びであった。 飛距離は重要であるものの競う対象とはならなくなった点を、少々と表現するかは人それぞれだが。 「ようせいだああぁーーー!」 「みんな!ゆっくりすばやくのってね!すぐにしゅっぱつするよ!」 森のほうを見ていたゆっくりれいむが悲鳴のような声を上げた直後、船着場となっている岸に集まったゆっくり達の動きが慌しくなる。 乗船客のゆっくりは慌てて白い箱に乗り込みだす。 「おさないでね!ゆっくりしてね!」 「ここはもうのれないよ!べつのにのってね!」 「れいむものせてね!ゆっくりさせてね!」 「なんて゛のせ゛て゛く゛れないの゛おお゛ぉ゛ぉ゛!!??」 あちこちでゆっくりの叫び声があがり始めた。 混乱気味なほど慌てた1匹のれいむが箱に乗り込もうと思い切り飛び上がったときに悲劇は起きた。 れいむが着地点を見極めきれず、箱の縁に直撃した結果、箱がぶおんとひっくり返ったのだ、既に乗っていたぱちゅりー種ごと。 いつぞやもあった様な光景だが、半月以上前の出来事などゆっくりの餡子脳では教訓にはできる訳が無かった。 2匹のゆっくりが水中に叩き込まれ、衝撃でバラバラになりつつ溶け出したが、周りの慌しさはそんな不幸な出来事すら気にせず進行していく。 白い箱の後ろにゆっくりまりさが2匹付き、思い切り押していく。 加速を少しでも良くしようという涙ぐましい努力だ。 結局、幸いというべきか先ほどの2匹の被害だけで残り39匹となったゆっくり達は出発できた。 出発できたからといっても、これで不幸が終わったわけではなかったが。 先ほどまでゆっくりでごった返していた岸辺には白い山が出来ていた。 妖精たちがどこかで捕獲し、持ってきたゆっくりを氷精が凍結したのだ。 「ざっとこんなもんよ!」 「チルノちゃん、ありがとう!」 「お疲れ様、チルノちゃん。」 ゆっくり十数匹を高速で凍結したチルノに、緑髪の妖精や他の妖精たちが声を掛ける。 彼女の冷気を操る程度の能力は大活躍だ。 妖精たちや特に仲の良い大妖精から言葉を掛けてもらうチルノは満更でもない様子だ。 チルノは賞賛を浴び、気分が良くなったところでゆっくりの山から凍結したゆっくりを引っ張り出す。 「アタイから投げるよ!」 「チルノちゃん!頑張ってね!」 「いきなり当てないでね!」 ゆっくりを凍結させた対価として初めに投げる権利を得たチルノは、カチコチのゆっくりれいむを持って振りかぶる。 必死の様子で遠ざかっていく水上のゆっくりまりさに狙いを付け、全力で放つ! 「ゆう゛う゛ぅっ!き゛た゛よお゛ぉっ!!」 「はやくすすんでね!はやくすすんでね!」 「ゆっく゛りし゛ないて゛ええぇぇぇ!」 箱に乗っているゆっくりが高速で飛来する白い塊を見て悲鳴を上げた。 一方狙われている事をここ数日の経験から分かっているまりさ達は、何とか移動速度を上げようと四苦八苦する。 ゆっくりれいむは白く輝く氷の結晶を彗星の尾のように残しながら湖上を飛翔、ゆっくりが乗せられた箱を必死に押しているゆっくりまりさ、その後方に着水した。 人間の子供の背丈ほどの高さがある水柱が轟音を上げてそそり立つ。 「あーっ、外れたぁ!」 餡子が欠片も混じっていないきれいな水の柱を見たチルノは、自分の投てきが外れたことを知って悔しがる。 「次は絶対当ててやるんだから!」 「次は私だね!」 チルノは大妖精に慰められながら下がり、凍ったゆっくりちぇんを持った別の妖精が出てきた。 「また゛き゛た゛よ゛お゛お゛おぉぉっ!?」 「は゛やく゛おし゛て゛え゛え゛ぇ゛ぇぇっ!」 「うし゛ろのまりさ゛はは゛らは゛らににけ゛て゛ねええぇっ!」 再び水上を飛んでくる氷塊にゆっくりは悲鳴を上げる。 「まりさはこっちにいくよ!」 「こっちがねらわれてないんだぜ!」 「おいて゛か゛ないて゛え゛え゛ぇぇ!!」 後ろで箱を押していたゆっくりまりさ達は、もう箱は十分早くなったという事で散開。 バラバラに分かれて対岸を目指し逃走を開始する。 その瞬間、不運なまりさが氷塊の餌食になった。 「け゛ひ゛ゅっ゛!?」 氷塊はまりさの体組織を粉砕するほどの威力は無かったが、表皮に穴を開ける程度の運動エネルギーは持っていた。 氷塊がまりさの後頭部に命中した瞬間、まりさの表皮が弾ける様に破れ、そこから餡子が撒き散らされる。 体中の餡子を氷の命中により凄まじくシェイクされたまりさは一瞬で意識を失った。 運動エネルギーを受けてまりさの体は勢いよく前方へ傾斜し、顔面が水面に叩きつけられた。 まりさに当たったことにより運動方向を変えられ、放物線を描いた氷塊が水面に落ちると同時に、ゆっくりまりさだった物体から茶色の液体が滲み出してきた。 岸のほうが騒がしくなる。 命中を確認した妖精達が歓声をあげているのだ。 さらに3個の氷塊が等間隔で投げられ、2個はむなしく水柱を立てるもののさらに1匹のゆっくりまりさを沈めた。 もっとも酷かったのは距離的に最後となるチルノが投げた氷塊がもたらした惨劇だった。 リヴェンジを誓う彼女が投げた剛速球は、箱の後部に命中。 発泡スチロールの脆い背面を粉砕して大穴を作った後、その背面のすぐ前方に居たゆっくりれいむの体を貫いた後に、箱の底面を叩き割って湖底へと消えていった。 雪のように小さくなった発泡スチロール片がれいむの餡子と共に他のゆっくりに降り注ぐ。 「て゛、て゛いふ゛う゛う゛ぅぅぅ!」 「みす゛か゛は゛いって゛く゛るよお゛おぉ゛ぉぉ!?」 「と゛け゛ち゛ゃう、と゛け゛ち゛ゃうよ!」 「い゛やた゛あああぁ!ゆっく゛りし゛た゛いいいぃ!!」 発泡スチロール製の箱は例え浸水しても、8匹のゆっくりを支える程度の浮力は持っていたが、浸水によりゆっくりが解けてしまっては浮いていても意味が無かった。 少しでも水の無い場所に行こうとゆっくりが醜いもみ合いを始める。 「ゆっ!そこはれいむのばしょだよ!ゆっくりどいてね!」 「れいむがどくんだみょん!」 底面のど真ん中に開いた穴からなるべく離れようとゆっくり達が動いた結果、箱の外周部分にのみ体重が掛かることになった。 穴が開いているために力を分散できず、箱のあちこちに無理な力が掛かってゆっくりとたわんでいく。 ミシミシと音がしたと思った次の瞬間に箱は真っ二つに折れた。 「ゆ゛ふ゛っ゛!!」 「み゛ょん!」 「け゛は゛っ!?」 そんな状態の箱にゆっくりが乗っていられるはずも無く、全て着水した。 「こ゛ほ゛ほ゛ほ゛ほ゛ほ゛ほ゛ほ゛っほ゛!!!!??」 「ひ゛やた゛ぁ゛ぁ!!と゛け゛た゛く゛な゛いぃ!」 「は゛か゛らは゛い゛よ゛ほ゛ほ゛ほ゛ほ゛!!」 水面に落ちたゆっくり達は暫くの間もがいていたが、すぐに1匹ずつ力尽きては周囲に中身を出しつつ沈んでいった。 ゆっくり達が妖精の射程から逃れるまでに箱3つのうち1つと12匹のゆっくりが犠牲になった。 出発した岸から目的の対岸までちょうど半分の行程に差し掛かろうというゆっくりは27匹に減っていた。 行程はまだ半分も残っていた。つまり、苦難も妖精によるものと同程度のがあと一回ある訳で… ゆっくりが仲間を失った悲しみから立ち直り、目的地をまっしぐらに目指すようになったとき、最後の苦難が始まった。 引いていた箱がバラバラになった為、手持ち無沙汰だったゆっくりまりさが急に悲鳴を上げ、「と゛け゛る゛う゛う゛ぅぅぅ…」、と言いながら沈んでいったのだ。 「は゛りさ゛っ!と゛ほ゛ち゛て゛え゛ぇ゛ぇっ゛!?」 「なに!?なんなの!?」 「わからないよー!」 「ゆっく゛りし゛た゛いよぉぉぉ!」 今までこの苦難を突破したゆっくりはいない為、何が起こったか誰も分からない。 「ゆ゛ひ゛ゅっ!いた゛いよ゛お゛ぉっ!」 箱の周囲から1匹だけ離れて進んでいたまりさが痛みを訴える。 次の瞬間、まりさの体が急速に下がっていき、帽子に水が流れ込む。 「た゛す゛け゛へ゛!ほ゛へ゛ち゛ゃうよお゛おぉぉっ゛!!」 先ほどのまりさと同じようにこのまりさも進路を湖底へと変更し、沈んでいった。 水中に意識が向いていないゆっくりには、何故まりさが沈んだか分からない。 「い゛やあ゛あ゛ぁぁぁぁ!」 「お゛う゛ち゛か゛え゛る゛うぅぅぅ!」 「れ゛い゛む゛う゛ううっ゛!」 箱を牽引していたまりさはとうとう職務を放り出し、他のまりさと一緒になって四方八方へと逃げ出し始めた。 オール代わりの枝を、漕ぐというよりメチャメチャに振り回すと言った方が妥当な動きで、操作しながら進んでいく。。 しかしその努力は実らず、まりさは1匹また1匹と悲鳴を上げながら沈んでいく。 「なんて゛まりさ゛か゛いな゛いのおお゛ぉ!」 「これし゛ゃうこ゛け゛ないよ゛おお゛ぉぉぉ!」 「た゛れか゛た゛す゛け゛て゛ね゛え゛えぇぇっ゛!」 放り出された箱はしばらくは慣性により前進していたが、水の抵抗によりすぐに速度が失われる。 あっという間に湖面を漂うだけの物体に成り下がった。 それに乗るゆっくりは流石にまりさがいなければ脱出不可能ということは分かっており、悲鳴を上げ助けを求めた。 全く無駄な行為だったが。 ゆっくり達の目的地の岸には先ほどの妖精と同じような体格の生き物が集まっていた。 先ほどと違う点を上げるとすれば、その生き物は人間の子供──少年であるという点だろうか。 少年たちの視線の先では、最後のゆっくりまりさの帽子が今まさに水面に隠れようとしていた。 帽子の先端はあっという間に水面下へ消え、僅かに出るアブクが生き物が沈んだことを示していた。 細長い銀の棒が生えた直方体を握る少年が歓声を上げる。 「やった!最後のヤツが沈んだ!」 「お、凄いな。ヨシちゃん、箱のほうも狙える?」 ヨシと呼ばれた少年に工具箱を持った少年が問いかける。 ヨシは直方体を握ったままブツブツと暗算をする。 「うーん、ちょっと分かんないなぁ。ノリ、何匹沈めたか覚えてる?」 「7匹だよ、全部ゆっくりまりさ。」 双眼鏡で湖面に浮かぶ箱のほうを見ていたノリは、ヨシが突然聞いてきた事にも慌てず答える。 それを聞いたヨシは再び暗算。 たしか10本積めて、1匹に1本使ったから…10ひく7で… 「ってことはあと三本か。正吉、かたっぽだけならやれるよ。」 「じゃー沈めちゃおうよ。」 「りょーかい。」 ヨシは直方体──何かを電波で操縦する機械のようだ──を再び操りだす。 双眼鏡を構えたノリは、その視界の中央にぼんやりとうつる水滴のような形をした物体をみては、ヨシちゃん右だ!、だとか、もうちょい左!、などと声を上げる。 草の上に座り込んだ正吉はいつの間にか取り出した単眼鏡を調節。 正吉は工具に用が無い今の状況では酷く暇だからだ。 「ヨシちゃん!真正面!今だ!」 「りょーかい!一番から三番、一斉発射!」 ノリが出した合図にあわせ、ヨシは操縦機械のボタンのうち1から3の数字が書かれたものを勢い良く押した。 湖面の上で騒ぐゆっくり達の手前で僅かに気泡が発生した。 ゆっくりれいむが“それ”に気が付いたのは全くの偶然だった。 さんざん声を上げて助けを求め、流石に疲れてきた為にうなだれるように下を向いたのが原因だ。 “それ”は水面の下を滑るように向かってきた。 「ゆっ!みんな!なにかくるよ!」 「なんなの?!たすけてくれるの?」 「ゆっくりしたいよ!」 れいむの方を向ける体勢のゆっくりが一斉にれいむの視線の先を注視する。 そこには細長い筒のような物体が3つ、横に並んでいる。 れいむ達に分かるはずも無かったが、“それ”はラジコン潜水艦から発射された魚雷だった。 “それ”はまっしぐらにれいむたちの乗る箱へと突き進んでいた。 れいむは、なんなんだろうね?、と疑問を発しようとした瞬間、轟音と共に自分の体が浮き上がった感覚をおぼえた。 ──わぁい、おそらをとん────。 水面が針山のようにささくれ立つ。 爆発により吹き飛ばされた水が無数の水滴となって落ちてきたからだ。 その針山の中に時々茶色の柱が現れる。 爆発により吹き飛ばされたゆっくりが水面と激突した衝撃で粉々になり、水と混ざりながらそれでも周りの水を押しのけ、逃げ場の無い餡子水が上空へと飛び出したからだ。 あっというまに針山は消え去り、元の静寂な水面が戻る。 最後の箱に乗っているゆっくりたちは騒ぐことすらしない。 木っ端微塵になった箱があった場所に浮いているのは、粉々の発泡スチロール片と、バラバラになったゆっくりの装飾だった。 ゆっくりが満載の箱が木っ端微塵になるのは少年の方でも確認できていた。 「うおお!バラバラになった!」 「三本も使うとすっげえな。」 あまりに派手な爆発だった為に歓声は意外にも小さな物だった。 ヨシが何かを思い出したようにノリへ聞く。 「あれって何匹乗ってた?」 「うーん、確か10匹。」 あっというまにスコアが二倍になった事を聞いたヨシは、今日は向こうの妖精に勝ったな!早く自慢してやろうぜ!、と言い操縦機械のレバーを操作する。 17匹のゆっくりを湖の藻屑と変えた物体──ラジコン潜水艦を回収するために岸へと変針させたのだ。 やがて岸にたどり着いた涙滴型潜水艦を模したそれを回収した少年達は、どこか壊れていないか工具で点検した後に岸を去っていった。 湖面には騒ぎ疲れたゆっくり10匹の乗る箱が未だに残っていた。 湖面に放置された箱が対岸に到着したのは次の日の朝だった。 朝一番に水上輸送を行う為、昨日少年達がいた岸にやってきたゆっくりまりさが漂流している箱を発見したときには、乗っているゆっくりの半数が餓死していた。 少年達が妖精にスコアを散々自慢して里に帰った。 そこまでは良かったが、火薬入りの魚雷で遊んだ事が親に発覚して大目玉を喰らった挙句、子供だけでラジコン遊びをするのは禁止された。 もっとも、暇な虐待お兄さんが休みの時には相変わらずゆっくりを沈めることができたのだが。 ゆっくりまりさの水上輸送は全盛期を迎えてから半月足らずで窮地に追い込まれた。 その後、うーぱっくの空中輸送も猟銃等であっさり撃墜されるようになってからは、里の周囲では見られなくなった。 ゆっくりが何かを思いついてもロクな事にならないのは世の摂理なのだろうか。 人様のSSの設定パクりすぎ\(^o^)/ by sdkfz251 このSSに感想を付ける
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庭に生えてる木に籠を吊るしてその中に切ったみかんを入れておく 昔聞いた野鳥の観察の仕方だが、正直うろ覚えでちゃんとあってるのかが分からないので試してみる事にした。 日が沈んでから100均で買ってきた籠を木に吊るし、みかんを入れる。 これで朝になればスズメやらウグイスやらが来る…筈である。 正直うろ覚えの知識なんて当てにならんし、1週間試して来なかったら止めてしまおう。 鳥が来ることを祈りながら、今日は床に着いた。 朝起きて庭に出て成果を確認する。 結論を言うと、一応来てはくれた。 だけど、それは野鳥何かではなく近頃現れ始めたうーぱっくであった。 捕食種のれみりゃと鳴き声は似てるものの、れいむやまりさ等と友好関係を築いているゆっくりだ。 こいつはダンボールの体の中にゆっくりを入れて飛んで運ぶことができ、その為ゆっくり達に侵入されないように畑を囲んでいる柵が最近では意味を成さなくなっている。 一応こいつも物を食うのだから籠の中のみかんを食うのは不思議ではない。 しかし、俺はこいつを呼びたくて準備したわけではないのだ。 籠に顔を突っ込んで「う~っう~」言ってるこいつをどうしてやろうか考えていると、うーぱっくが不意にこちらを見た。 口から涎の如く果汁を垂らしフラフラ俺の周りに飛んできたうーぱっく。 どうやらもっとくれと言っているようだ。ダンボールの癖に生意気な。 俺は家の中へ入り、台所の戸棚を開けて封は開いているが全然使っていないポップコーンの種を取り出す。フライパンで炙ると弾けるあれだ。 再び玄関へ行くと、うーぱっくが瞳を輝かせて待っていた。俺が家の中にみかんを取りに行ったと思ったのだろう。 そんな事あるわけがない。 うーぱっくを取り押さえて肘と膝で固定して逃がさないようにする。「うっう~!!」暴れてうるさいが我慢しよう。 ゆっくり達の乗る場所、うーぱっくのダンボールの中へポップコーンの種を全て入れ終えたら解放してやる。 うーぱっくは俺に解放されるとすぐに高く飛び上がった。きっともう俺の事を信用する事はないだろう。 だが、関係ない。 うーぱっくが飛び上がると、何匹かの鳩がうーぱっくの中へ入っていった。 やわらかい饅頭であるゆっくり以外と野菜くらいしか入れた事のないうーぱっくにとって、刺さる鳥の足は苦痛だろう。空でフラフラしている。 次第にうーぱっくは「う~~~~~~~~~~~!!!!」と、叫び声をあげ出した。鳩がうーぱっくの体を啄ばみ始めたのだ。 正確には、俺が入れたポップコーンの種だが。 鳥のクチバシというのは中々固い。そして鳩に餌をやった事のある人なら分かるだろうが、鳩は餌を載せている手の平ごと啄ばむ。 うーぱっくのダンボールの体の中はもうボロボロだろう。 そして、うーぱっくは体が大きすぎたのも不幸だった。 最初は数羽だった鳩が、どんどん集まり出している。 刺さる足、啄ばんでくるクチバシ、餌のポップコーンの種がなくなれば鳩もいなくなるだろうが、ほぼ一袋丸々入れたのだ。まだまだ無くなるまい。 「みて!! うーぱっくがとりさんにいじめられてるよ!!」 「うーぱっくおりてきてね!!」 「むきゅ、みんなでうーぱっくをまもるのよ!!」 「いなかもののとりたちはうーぱっくをいじめたらだめよ!!」 見上げてうーぱっくを観察していた俺の耳に、そんな声が聴こえてきた。 周囲を見渡すと、中々でかいゆっくりれいむとまりさ。それにありすとゆちゅりーがいた。仲良し4匹組みと言った所か。 うーぱっくはそのゆっくり達の声のする方へ降りていった。 最初は「ゆっくりやめてね!!」だの声をあげたが、鳩は啄ばむのをやめない。 傷ついていくうーぱっくを見て焦ったのだろう。とうとう鳩に体当たりを仕掛けた。 けれど、ゆっくりは所詮饅頭だ。 邪魔されて不快に思った鳩たちはゆっくりも啄ばみ始める。 「いだいよ!! はどざんやべでええええええええ!!」と叫び声をあげるゆっくり達。 しかし鳩は止めない。最初にゆちゅりーが皮を突き破られてしまった。他のゆっくりよりも皮が薄いゆちゅりーだから仕方がない。 「むきゅむきゅ」言いながら逃げ出そうとしたが、飛ぶことのできる鳩から逃げることはできずゆちゅりーは食われていなくなった。 残された三匹はゆちゅりーが食われたのを見て自分の末路を知ると、「いやだよおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」といいながらバラバラに逃げ出した。 もう、うーぱっく何て関係ない。大切なのは自分の命だ。 だけど逃げれるわけもなく、鳩にどんどん啄ばまれていく己の体。 ゆっくり達の体は食べられてなくなり、後に残ったのは髪飾りと帽子だけ。 ゆっくりを食べ終えた鳩たちはどこかへ飛んでいってしまった。 そして忘れていたうーぱっくを俺は思い出す。 うーぱっくを見るとまだ生きており、「う-…」と呻き声をあげている。 上からダンボールの中を覗くと、入れたポップコーンの種は全て無くなっていた。鳩たちが全部食べたのだろう。 だが、うーぱっくのダンボールの体は鳩に啄ばまれた事によって所々穴が開いている。もう飛ぶこともできないだろうし、先は長くないだろう。 俺は家の中にもう一度入って仏壇からマッチを取ってくる。苦しまずに逝かせてやろう。 マッチを擦り火を点けて、うーぱっくの体の中に入れる。 ダンボールの体に火はどんどん広がりだす。どこにそんな元気があったのか、目を見開き、羽をバタバタ動かして自ら空気を送り込んでいる。 そんなに早く楽になりたかったのか… やがてうーぱっくは灰になり、風に吹かれて飛んでいった。 死んでまで飛べるのだからあのうーぱっくは幸せなのだろう。 この後俺は近所のおばさんに「鳩に餌をやらないでくださいよ」と怒られた… 野鳩に餌をやると糞をするので餌をやらないようにしよう!! こんな駄文を最後まで読んでいただき真にありがとうございます!!本当にお目汚し失礼!! うーぱっくssを読んでいたら自分も書きたくなったので書いてみました。結果は相変わらずの駄文ですがorz 個人的にうーぱっくは叫び声を書くのが難しく、自分の中では色々物足りないものがあります。精進せねば… 感想フォームで『ますますきめぇ丸のことが好きになりました』と書いてくださった方、本当にありがとうございます!! もう自分の中でのきめぇ丸はゆっくりではなく人間に近い何かになりだしています… 書いた作品 ゆっくりいじめ系352 虐められるゆっくり ゆっくりいじめ系382 ある馬鹿なゆっくりの話 ゆっくりいじめ系394 きめぇ丸 ゆっくりいじめ系421 めーりんとこうりん ゆっくりいじめ系488 ゆっくり飼ってます ゆっくりいじめ系497 携帯でチマチマ書いてみた ゆっくりいじめ系571 みんなで食べよう ゆっくりいじめ系572 きめぇ丸その後 ゆっくりいじめ系596 ゆこまち 幽香×ゆっくり系9 ある馬鹿なゆっくりの話2 ゆっくりいじめ小ネタ125 虫眼鏡 ゆっくりいじめ小ネタ128 ゆっくりが大好きだ!! ゆっくりいじめ小ネタ140 ガラス fuku2051 このSSに感想を付ける
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ティガれみりゃ ======================== ≪はじめに≫ 他の作者様の設定や名称を一部使わせていただいております。 ややパロディネタが多めかもしれません。 自分設定有りです。 虐め……というのとは少し違うかもしれません。 続きものです。 以上、何卒ご理解・ご容赦ください。 ======================== 1、絶対強者 「うーうー!」 小高い山を越え、うーぱっくの群れが空を飛ぶ。 その数は30を越え、それぞれ背中にゆっくり達を載せている。 自慢のダンボールは、パンパンに膨れあがっており、 うーぱっくは、汗らしきものを浮かべて、「うぅーうぅー」と肩(?)で息をしている。 ダンボールの中には、人間達から盗んだ大量の野菜や、お菓子がつめられていた。 「ゆゆっ! しかっりしてよね、うーぱっく!」 「そうだぜ! はやくしないと、まりさ達がドスに怒られちゃうんだぜ!」 自分達は何もせず、うーぱっくに注文を出す、ゆっくりれいむとゆっくりまりさ。 人間から盗みを働いた首謀者達だ。 「う~っ!」 力を振り絞り、岩山を越えていくうーぱっく。 すると、岩山の向こうには、直径500mほどの窪地が広がり、 無数のゆっくり達が、ゆっくりしていた。 「う~♪」 すごい! うーぱっく達は感心した。 これだけの数のゆっくりが、ゆっくりできる場所は、そうそう無い。 岩山の中の窪地は、緑こそ少ないものの、 適度に草花がはえ、岩の隙間からは清水が湧き出ている。 また、岩と岩の間には無数の洞窟があり、そこに入れば雨風も防げそうだ。 なにより、山間のこの窪地は、教えて貰わなければちょっと発見できそうにない。 他の捕食種とよばれるゆっくりや、野生の動物からも容易に身を隠せるだろう。 「うっうー♪」 れいむを背中に乗せ、先頭を飛ぶうーぱっくが、 後ろを飛ぶうーぱっく達にかけ声を飛ばす。 目的地が見え、「うーっ♪」と応えてテンションを上げる、うーぱっく達 これだけの群れに、これだけの量の食料を運ぶのは、 うーぱっく達にとっても初めてのことだった。 "頼まれ物を運んで、お礼をもらう" この習性を、自分達にしかできない大事な仕事だと考えるうーぱっく達にとって、 今回の依頼は、大変きわまりなかいものだが、それでも充実感を覚えていた。 「ゆっ! ドスまりさだ!」 嬉しそうに叫ぶれいむ。 うーぱっくが下を見ると、巨大なゆっくりまりさと、 その傍らにベッタリよりそっている、これまた巨大なゆっくりアリスがいた。 まりさは全長3メートルほど、 アリスもまりさほどではないが、ゆっくりとしては破格の2メートル級の体を持っていた。 俗に言う、"ドス種"。 ドスまりさと、クィーンアリスだ。 「おいっ、うーぱっく! ぐずぐずしないで早く下りるんだぜ!」 ドスまりさの所へ下りるよう催促する、まりさ。 余談だが、このまりさはまりさ種の中でも、タチが悪いとされている"ダゼまりさ"だった。 しかし、心優しいうーぱっく達は、まりさの横柄を気にとめず、 ドスまりさの前に、ゆっくりと着陸する。 『ゆゆっ! おかえり~! 食べ物は集まったの?』 巨大なドスまりさが口を開く。 「もちろんだよ、ドスまりさ!」 「そうだぜ! まりさ達の華麗な仕事っぷりを見せてやりたかったぜ!」 うーぱっくの背中からピョンと飛び降り、ドスの前で胸(?)を張る、れいむとまりさ。 実際、いちばん苦労したのはうーぱっく達なのだが、 このれいむ達にとって、そんなことは関係無い。 「もう! なにしてるの、うーぱっく! はやくれいむ達のご飯を、ドスに見せてね」 「うー!」 うーぱっく達は、ガサゴソとダンボールの蓋を開き、 中に押し込められていた大量の食べ物を地面に下ろしていく。 『ゆぅ~っ! すごぉ~い!』 『それでこそ、とかいはのアリスとまりさの子供達よ!』 感嘆の声を上げるドスまりさと、クィーンアリス。 ちなみに、れいむもまりさもクィーンアリスの子供ではないのだが、 どうやらアリスの中では、愛しのドスまりさとの間にできた子供…という設定が完成しているらしい。 勝手な思いこみに違いなかったが、ドスまりさ自身、クィーンアリスには好意を持っていたし、 他のゆっくり達にとっても、強大なクィーンアリスに愛されることは、損ではなかった。 「さっそくみんなで食べようよ、ドスまりさ!」 れいむがピョンピョン跳ねて、ドスまりさを急かす。 そこに、体付きのゆっくりぱちゅりーが現れ、ワガママなれいむを戒めた。 「むきゅ! だめよれいむ。これは冬を越えるための大事な食料なんだから」 このぱちゅりーと、ドスまりさ、クィーンアリスは、子供の頃からの付き合いで、 3人で協力してこの場所をみつけ、この一大ゆっくりコロニーを築きあげたのだった。 ぱちゅりーは体が弱く、ドスまりさやクィーンアリスのように力は無かったが、 そのぶん知恵がまわり、この群れの参謀役を務めていた。 「ったく、ぱちゅりーはいつもケチケチだぜ!」 悪態をつく、まりさ。 『まぁまぁ、れいむやまりさも疲れているだろうし、一口だけ食べようよ? それで残りは冬支度に回す……ぱちゅりーもそれでいいよね?』 「……むきゅー。ドスまりさがそう言うなら」 「わーい! だからドスまりさ大好きぃー!」 喜ぶ、れいむとまりさ。 「なになに~ごちそう?」 「わかるよー。みんなで食べるよぉー」 「ちぃーんぽ!」 すると、いつの間にかこの窪地に住む他のゆっくり達も集まりだしていた。 皆、この御馳走のご相伴にあずかろうという腹づもりだ。 「むきゅ!そんなに食べたら……」 『も~しょうがないなぁ。みんな一口だけだよ?』 止めようとするぱちゅりーを遮り、 群れのリーダーであるドスまりさが、許可を出してしまう。 「「「「いっただきまぁ~す!」」」」 言うや否や、何十匹ものゆっくりが、いっせいに食べ物にむしゃぶりつく。 「むーしゃむーしゃ♪」 「なにこれ、めっちゃうめぇ!」 「しあわせぇ~♪」 ゆっくり達は、人間達から盗んできた御馳走を貪り食っていく。 既に"一口だけ"の約束が忘れ去られてしまっていることに、気を揉むぱちゅりー。 そして、気を揉む存在がこちらにも。 「「「うーうー!」」」 うーぱっく達だ。 食事に夢中なゆっくり達を囲み、催促するように鳴き声をあげる。 うーぱっく達は、頼まれた物を頼まれた場所に届け、 その御礼として食べ物を分けて貰うことで生態を成り立たせている。 これだけの量の食べ物を運んだのだから、相応の御礼を貰わなければつりあわない。 「ゆっ?」 「なんだぜ、うーぱっく! せっかくまりさ達が御馳走を食べてるのに!」 面倒くさそうに食べるを止め、小うるさそうにうーぱっく達を見る、れいむとまりさ。 「うーっ!うーっ!」 うーぱっくは、羽をパタパタと動かし、ゆっくり達が食べる御馳走を指差す。 うーぱっく達にもわけて~というアピールだ。 だが、そんなうーぱっく達に対し、れいむとまりさはバカにしたように目を細める 「見ろよれいむ、たかだか運び屋のぶんざいで、まりさ達の御馳走をねだってやがるぜ」 「おお、あさましいあさましい」 そう言うと、れいむとまりさは人間の家から盗みだしたお菓子をくわえ、 うーぱっく達の目の前で「むーしゃむーしゃ」と食べ始めた。 「「「うー!?」」」 驚くうーぱっく達。 目こそいつものニコニコ目だが、互いの顔を見合わせ少なからず動揺を露わにする。 そして、ゆっくりの中では、かなり頭の良い部類に入るうーぱっく達は、一つの結論を導き出す。 すなわち、このゆっくり達は、最初から自分達をいいように利用して騙すつもりだったのだと。 「「「うーっ!」」」 一同、抗議の声を上げるうーぱっく達。 温厚なうーぱっく達だが、契約不履行の不届き者には、相応の態度を見せる。 羽を動かし、ペチペチとれいむとまりさの頬を叩き、驚いた隙に食べ物を奪い去る。 「ゆゆっ! なにするの!」 「やめるんだぜ! それはまりさ達のものだぜ!」 「「「うーうー!」」」 構わず、同じようにペチペチとゆっくり達の頬を叩いては、食べ物を奪っていくうーぱっく。 ニコニコと笑ったままのその顔が、逆に恐ろしい。 「ゆっくりやめてね!」 「それはとかいはのアリスのものよ! いなかもの!」 「わからないよー!」 「ゆっくりできないうーぱっくは、ゆっくりいなくなってね!」 うーぱっく達の正当な抗議に、不満を叫び出すゆっくり達。 だが、空を飛び、しかも団体行動になれているうーぱっく達の連携に、 食べ物は次々奪われていく。 「「「ゆぅぅ~~! ドスまりさぁ~~!!」」」 たまらずドスまりさを呼ぶ、ゆっくり達。 そのドスまりさといえば、クィーンアリスとともに自分の食事をするのに夢中であった。 『……ゆぅ~~~? どうしたのみんなぁ?』 言われるまで気づかないというのが、いかにもゆっくりらしい。 ドスまりさは、しばらく間を置いてから、ようやくゆっくり達に呼ばれていることに気が付いた。 『ゆゆぅぅぅっ! なにしてるのうーぱっく!!』 その光景を見て、驚くドスまりさ。 自分の群れのゆっくり達が、うーぱっくに虐められ、 苦労して集めた御馳走を横取りされているではないか! ……と、ドスまりさのゆっくり脳は瞬時に都合良く解釈した。 しかし、いかなゆっくり脳の持ち主とはいえ、 くさっても巨体と長寿を誇るドスまりさ。 こうなると群れを率いるリーダーとして、都合良く燃え出すのであった。 『ゆぅぅぅっっ!』 「う~?……うぎゃ!」 ドスまりさは、ぐにょんと体を下に押し込めたかと思うと、反動をつけて前方にとび跳ねる。 そして、目の前にいたうーぱっくに体当たりをしかけ、窪地の周囲の岩壁に叩きつけた。 「「うーっ!?」」 驚いたのは、うーぱっく達。 通常、ドスまりさは巨体に見合った経験と知識も併せ持っており、 今回の件の非がどちらにあるかは、自ずとわかってもらえると期待していたのだ。 『うーぱっく! まりさの仲間を一方的にいじめるなんて、絶対にゆるさないよ!』 「「ううーーー!??」」 全然、期待通りにはいかなかった。 戸惑い、慌てるうーぱっく達。 「むきゅ! まりさ、うーぱっく達は……」 『ぱちゅりーは黙っていてね! まりさはみんなを守るよ!』 うーぱっく達の抗議の理由を知るぱちゅりーが、ドスまりさを止めようとするが、 変な使命感のスイッチが入ってしまったドスまりさは止まらない。 このドスまりさは、確かに長い時間を生き、ドスの名にふさわしい巨体と力を得ていた。 だが、本来一人で生きて得るはずの知識や思慮を幼なじみのぱちゅりーの頼りっぱなしにしてきたため、 どうにも考えの足りないドスまりさになってしまっていた。 「「うーっ!」」 だが、うーぱっく達は、そんなことは知らない。 羽を動かし、自分達が運んできた食料を指す、うーぱっく。 なんとか自分達の誤解をといて、わかってもらおうとする。 『……わかったよ、うーぱっく』 「「うー♪」」 『うーぱっく達は、まりさ達を騙して食べ物を横取りするつもりだったんだね!』 「「うううーっ!???」」 全然わかってなぁーい! うーぱっく達は、全員が同時に心の中でツッコミの声をあげる。 『まりさ達をゆっくりさせないうーぱっくは、ゆっぐりじねぇぇぇぇぇっっ!』 ドスまりは天高く舞い上がり、その巨体を地面に叩きつける。 何匹かのうーぱっくが、その巨体の犠牲となる。 「「ううーっ!」」 これ以上ここにいてはいけない! うーぱっく達は身の危険を感じ、一目散に空高くへ舞い上がる。 「「うわぁぁーん! ドスまりさなんてきらいぃぃー!」」 自分達の誇り高い仕事が失敗に終わったこと、 つらい時も楽しい時も一緒だった、大事な仲間を失ったこと、 うーぱっく達は、目から涙を流して飛び去っていく。 だが。 『逃がさないよ!うーぱっく!……ひぃぃ~~~~っさつ!』 ドスまりさは、大きな口を思い切り開く。 すると口の中から淡い光がもれはじめ、瞬く間にまぶしい程の輝きを放ち始める。 「ゆゆっ!出るよ、ドスまりさの必殺技!」 「やっちゃうんだぜドスまりさ! バカなうーぱっくどもに身の程わからせてやるんだぜ!」 『すてきよぉぉまりさぁぁぁ!』 「む、むきゅう~!だ、だめよぉ、まりさぁ!」 事情を理解しているぱちゅりーを除いて、俄然もりあがるゆっくり達。 クィーンアリスに至っては、ドスまりさの勇姿に目をトロ~ンとさせている。 『ひっさつ!ドスパァァァーク!!』 「う、ううぅぅぅぅぅーーーっ!」 叫ぶと同時にドスまりさの口からレーザーが発射される。 そのレーザーは空を切り裂き、泣きながら逃げ去るうーぱっく達を直撃した。 超高温のレーザーは、ダンボールでできたうーぱっくの体を一瞬で焼き尽くし、 そらからは燃えかすとなったうーぱっく達がボトボトと地面に落ちていく。 「「「ゆぅぅぅ! すごぉぉぉーい!」」」 その圧倒的な威力に、群れ全体から感嘆の声があがる。 ドスまりさは群れのゆっくり達にむき直り、誇らしげに胸(?)をはった。 『みんなのことはまりさが守るよ! だから安心してゆっくりしてね!』 「「「ゆっくりぃぃ~~~♪」」」 喜びの声をあげるゆっくり達。 ただ一人、ぱちゅりーだけが浮かない顔して、岩の隙間の洞窟へと入っていく。 「むきゅう……」 今回の件の非は、あきらかにこちらにある。 なにか悪いことが起きなければよいけれど……。 その不安からか、ぱちゅりーは体に疲れを覚え、洞窟の奥で眠りについた。 けれど、このぱちゅりーの予感は、すぐに当たることになってしまう。 数時間後。 空には満月が登り、本来ならばゆっくり達も眠りにつく頃。 だが、山間の窪地では、いまなお多くのゆっくり達が食べや歌えやで大騒ぎをしている。 「ゆっゆっゆっ~~♪」 「だぜだぜだぜぇ~~♪」 『すごぉーい! みんなお歌が上手だねぇ!』 『さすがとかいはのアリスの子! 良いセンスをしてるわぁ!』 昼間の一件で、すっかりテンションの上がってしまったドスまりさの群れは、 あれからずぅ~と宴会を開いていた。 もはや、ぱちゅりーとの"冬の支度のために食べ物をとっておく"という約束は、頭の中になかった。 ゆっくり食べてはゆっくり踊り、ゆっくり食べてはゆっくり歌う。 「ゆゆゆ~~ゆゆゆ~~♪」 「だぜだぜ~~だぜだぜ~~♪」 「……ティ~ガティガティガ♪」 『ゆっ?』 ドスまりさは疑問に思った。 今、群れのれいむ達の歌に混じって、何か聞こえたような? 「ゆゆゆゆ~ゆゆゆゆ~ゆっゆっゆっ~~~♪」 「だぜぜ~だぜぜ~だっぜっぜぇ~~~♪」 「……ティ~ガティガティガ♪」 『ゆゆっ!?』 「「「ゆゆゆっ!?」」」 やはりだ。 気のせいじゃない。 今度はドスまりさだけじゃなく、他のゆっくり達にも聞こえたようだ。 ゆっくり達は、ひとまずバカさわぎを止め、あたりを見回す。 だが、本来夜の間は寝るのが"殆どの"ゆっくり達の生態のため、 ゆっくりの中で夜目が効く者はほとんどいない。 が、それにも関わらず。 ソレの存在はゆっくり達にもハッキリ視認できた。 『あれは、ゆっくりゃザウルス!!』 一番最初にみつけたクィーンアリスが叫び、それに呼応して他のゆっくり達もそちらを見る。 ゆっくり達の視線の先。数百メートルは離れた位置。 そこには、よたよたドタドタ踊るようにステップを踏み、ゆっくり達に近づいてくる不思議な生物がいた。 長生きをしていたクィーンアリスと、ドスまりさは、己の経験に基づきその生物をこう認定した。 あれは、ゆっくりゃザウルスだと。 ゆっくりゃザウルス。 それは、代表的な捕食種・ゆっくりれみりゃの亜種である。 亜種という意味では、昼間ドスパークの餌食になったうーぱっく達もそうだが、 近年比較的多く見かけるようになったうーぱっく達と異なり、 ゆっくりゃザウルスは、非常に見かけるのが希な亜種……即ち希少種であった。 その姿は、人間からみれば愛らしくも映る。 体つきのゆっくりれみりゃが、ダボダボくたくたの恐竜の着ぐるみを纏ったような姿。 それが、ゆっくりゃザウルスの特徴だった。 ずいぶんとディフォルメされた緑色の恐竜の、大きく開かれた口から、 れみりゃ種特有の「うーうー♪」という下ぶくれ気味の笑顔が覗いている。 体は筋肉質とは程遠く、まるでクッションかヌイグルミのような柔らかさで、 お腹のあたりに、有袋類…といえば聞こえが良いが、どう見ても縫いつけたような大きなポケットがある。 「ゆゆゆゆ~!大変だよ!れみりゃだよ!」 あれが、自分達を食べる捕食種の一種だと知り、慌てるれいむ。 「ま、まりさはおいしくないぜ! たべるなられいむの方がおいしいんだぜ!」 「どぉじでぞんなごどいうのぉぉぉーーっ!?」 にわかに群れに広がるパニック。 だが、ドスまりさがそれを鎮める。 『大丈夫! 安心してよみんな!』 「ゆゆっ?」 「わかるよ~! こっちにはドスまりさがいるんだよ~!」 『まりさとアリスにとって、ゆっくりゃザウルスなんて敵じゃないよ!』 そう言って笑顔を向けるドスまりさ。 「なんて頼もしいんだ!」群れのゆっくり達は、ドスの笑顔に安心して落ち着きを取り戻す。 『まりさとアリスは、もっと小さき時に……それこそみんなと同じくらいの時に、 ゆっくりゃザウルスを倒したことがあるんだよ♪』 「「「すっごぉ~~~い!」」」 再びあがる感嘆の声。 それを誇らしげに受け止めるドスまりさ。 ドスまりさの言ったことは確かに事実であった。 ……もっとも、ゆっくりゃザウルスのことを良く知るものが聞けば、 それが大した自慢にならないこともわかるのだが。 ゆっくりゃザウルスは、確かに希少種だ。 だが、希少なのには理由がある。 すなわち、ゆっくりゃザウルスは、れみりゃ種の中でも"最も弱い"種類だからだ。 亜種の多い、ゆっくりれみりゃだが、一応それぞれに進化と思われる特徴を持っている。 体が無く、耳のあたりに羽をつけているタイプは、れみりゃ種の中でも最もバランスが良い。 飛行能力も高く、蝙蝠やイルカにも似たエコーロケーション能力を持っており、 暗い場所でも自由自在に動くことができる。 うーぱっくは、敏捷性や攻撃能力では上記のれみりゃに劣るものの、 そのぶん他の物(者)を上に載せて飛ぶ能力にすぐれている。 また、協調性に優れ、ゆっくり達の運送屋さんとしての地位を確立することで、 自然界の中で主立った敵を作らず、共生関係を築き上げていた。 胴体と四肢のついたれみりゃは、紅魔館のすぐそばでよく見かけられる。 重たい体がついたのが逆効果となり、飛行能力・運動能力は明らかに低くなっているが、 それでも(極めて不器用ではあるが)手足が使えるメリットは大きいし、 なにより紅魔館の主の姿と似ているために、館のメイド達から寵愛を受けられるという面もある。 ……では、ゆっくりゃザウルスはどうか? 悲しいかな、これといって優れた点が無いのだ。 背中から羽は失われ、空を飛ぶことはできない。 手足や指先は恐竜のヌイグルミ状になっているため、細かい作業も全くできない。 ずんぐりむっくりした体は重たく、生きる上で極めて燃費効率が悪く、すぐ疲れてしまう。 おまけに、なまじ体が重くなったぶん、本人は強くなったと勘違いし、無駄に気が大きくなる傾向がある。 では、なぜそんなにも不都合だらけのゆっくりゃザウルスへと姿を変える必要があるのか。 それは、ゆっくりの研究者達の間でもまだ解明されていない。 いずれにせよ、そんなゆっくりゃザウルスであるが故に、 本来獲物であるはずのゆっくり達に、逆に返り討ちにあってしまうこともままあるのだ。 まして、ドスまりさとクィーンアリスからみれば、 逆に向こうから美味しい肉まんがやって来たようなものだ。 「ティ~ガティガティガ♪」 歌いながら、えっちらおっちら満面の笑顔で歩いていくるゆっくりゃザウルス。 その声が、徐々にはっきり聞こえてくる。 『ゆぅ~♪ みんな、今日はおいしい肉まんがたべられるよ♪』 「「「わぁ~~い♪」」」 余裕のゆっくり達。 しかし、その余裕がゆっくり達に、本来気付くべき疑念を忘れさせてしまっていた。 なぜ、数100メートルも先のゆっくりゃザウルスを、夜目の効かないゆっくり達が見えているか。 なぜ、まだまだ遠くにいるはずのゆっくりゃザウルスの歌が、こんなにもハッキリ聞こえるのか。 そして、なぜゆっくりゃザウルスが近づいてくるたびに、地面がドシンドシンと揺れるのか。 数秒後、ゆっくり達は嫌がおうにも、その理由をわからされることになる。 『ティ~ガティガティガ♪ ティガれみりゃ~♪』 「「「『ゆげぇっ! お、おおきぃぃぃぃっっっ!!??』」」」 目の前まで来て足を止めたソレを見上げ、一同に驚愕の叫びをあげるゆっくり達。 ドスまりさとクィーンアリスさえ、呆気にとられてソレを見上げている。 身長はゆうに10メートルを越え、尻尾の部分をあわせた全長は20メートルにも届かんほどだ。 『ティガ☆れみ☆りゃ☆う~~~♪』 ソレは、自らがれみりゃ種であることを示すように、自らの存在を知らしめるように、 両手を顔の横に上げ、れみりゃ種特有の"れみりゃダンス"を行った。 「「「ゆゆゆゆっ!」」」 ソレがダンスのステップを踏む度、地響きが起こり、小さなゆっくり達を震えさせる。 『や、やめてよね!ゆっくりゃザウルスのくせに、まりさ達をおどかさないでね!』 ぷく~と頬を膨らませ、見上げるソイツに告げるまりさ。 一方、そのれみりゃは不思議そうに、首をひねった。 『う~? ゆっくりゃザウルス?』 『そうだよ! おまえのことだよ! 自分のこともわからないなんて、ゆっくりゃザウルスは本当にバカなんだね!』 『うーうー! れみりゃはぁー、ゆっくりゃザウルスじゃないどぉー♪』 『え?』 『れみりゃはぁ~♪』 にぱぁ~☆と満面の笑顔を浮かぶ。 『ティガれみりゃだどぉー♪』 そう、この巨大なれみりゃは、ゆっくりゃザウルスではなかった。 圧倒的な巨体と力を持つ、ドス種を越える超巨大・突然変異ゆっくり、ティガれみりゃだったのだ! 『……ティ、ティガれみりゃだなんて知らないよ! バカなれみりゃはおとなしくまりさ達に食べられてね!』 巨体にプレッシャーを感じつつ、あくまで虚勢を張るドスまりさ。 他のゆっくり達も、ドスまりさなら負けるハズないと、徐々に落ち着きを取り戻していく。 「そうだよ! ばかなれみりゃはゆっくり死んでね!」 「ドスが、おまえなんかに負けるわけないんだぜ!」 ゆっくり達が、わーわーと騒ぎ立てる。 それ見回してニコニコするティガれみりゃ。 『うー♪ おいしそうなおまんじゅうがいっぱいだどぉー♪』 そう言うと、ティガれみりゃはクィーンアリスを片手で掴み上げ、口の前へと運ぶ。 『ゆぅ!?』 「クィーンアリスが!」 「おとなしくアリスを離すんだぜ!」 あっさりつかまってしまった群れのナンバー2に、ざわめくドスまりさとゆっくり達。 当のクィーンアリスは、頬を膨らませて、ティガれみりゃを罵っている。 『これだからマナーを知らないいなかものは! とかいはのアリスにこんなことしてただですむと思わないでね!』 そんなアリスをじぃ~っと見つめて観察するティガれみりゃ。 『うぅ~♪ よくみるとぶさいくなおまんじゅうだどぉ』 『ゆぎぎぎぃぃぃぃぃっ! とかいはのアリスに向かってよくもぉぉぉっ!』 逆上するクィーンアリス。 対するティガれみりゃは…… 『うー♪ うるさいおまんじゅうだどぉ♪』 と言ってから、そのまま「あ~~ん」と大口を開け、クィーンアリスにかぶりついた。 『ゆげぇぇぇぇぇえ!』 『あ、アリスゥゥゥッッッ!!』 たまらず断末魔を上げるクィーンアリスと、ドスまりさ。 クィーンアリスの体はたった一口で半分がえぐりとられ、その生命活動を停止させた。 『う~♪ がじがじ~♪』 そのまま美味しそうにクィーンアリスの残骸を食べ続けるティガれみりゃ。 2メートルあった、クィーンアリスの体も、数秒で消滅してしまった。 『うっうー♪ おいしかったどぉー♪』 舌をペロリと回し、口の周りについたクリームを舐めとるティガれみりゃ。 その光景を見ていたドスまりさの怒りは、既に限界を遙かに超えていた。 『ゆぎぎぎぎぎぎぎ……ゆ、ゆるさないっ、ぜぇったいにゆるさないぃぃぃぃっ!!!!!』 『う~?』 『ゆっぐりじないでじねぇぇぇぇぇぇ!!!!!』 「で、でるぜ! ドスの必殺技!」 『ドスパァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーク!!!!!!!』 ドスまりさは口を開け、高温のレーザーを放つ。 怒りにまかせて全ての力を結集したそれは、昼間うーぱっくを仕留めたのとは比較にならない程の出力となる。 夜の闇を、貫くドスパークの光。 これを受けて無事なゆっくりなどいるはずがない。 いや、人間はおろか妖精や妖怪とてただでは済むまい。 『……うぅぅぅぅぅ! アリスぅぅぅぅ、かたきはとったよぉぉぉぉぉ!』 嗚咽混じりで天に吠えるドスまりさ。 誰よりキレイだったクィーンアリス、彼女はお空のお星様になってしまったんだ。 ドスまりさとゆっくり達はそう思い、ドスパークの衝撃で巻き起こった土煙の先、 クィーンアリスのお星様を見ようと、夜空を見上げようとする。が。 『う~? なんかあったかいどぉ~…なんだか汗かいちゃったどぉ~♪』 「「「『ゆ、ゆげぇぇ!?』」」」 見えるハズのお星様が見えず、 見上げた先には、変わらずティガれみりゃが立っていた。 その体には傷一つなく、下ぶくれの笑顔に少し汗をかいているだけだった。 『どぉじでぇぇ! なんでドスパークがぎがないのぉぉぉぉぉっ!!??』 『う~、汗かいたら、またおなかすいちゃったどぉ~♪』 ティガれみりゃは、おなかのあたりをおさえ、少し頬を紅潮させた。 "こーまかんのれでぃーである"という自負からなのか、 食べてすぐ、またおなかをすかせることが恥ずかしいようだ。 とはいえ、そこはゆっくり。 恥じらいよりも、まずは欲求に従う。 そこはティガれみりゃといえど、変わらなかった。 『ぎゃぉー♪ いっただきまぁーす♪』 『ゆべぇ!!?? 、は、はなじてぇぇぇぇ!!!』 「「「どどどど、ドス!?」」」 足下ではねまわるドスまりさを難なく掴み上げると、口の前に運ぶティガれみりゃ。 『がじ、がじ、がじぃ~♪』 『ゆべっ!うげぇ!ゆぶぁ!!』 みるみるドスまりさの体は小さくなっていき、 10秒もたたずに、全てティガれみりゃの口の中に消えていった。 『う~、おいしぃ~♪』 「「「…………」」」 あまりにも信じられないことが起きた時、人は一切の思考が働かなくなる。 それは、ゆっくり達にもあてはまるらしい。 なすすべ無く食べられるドスまりさを目の当たりにした無数のゆっくり達は、 ただ無言のまま固まってしまっていた。 一方、ティガれみりゃはというと、お腹についたポケットの中に手をつっこみ、 何かをゴソゴソと取り出した。 『うっう~! すぴあ☆ざ☆ぐんぐにる~♪』 まるで、22世紀の猫型ロボットが便利道具を取り出すように、 ティガれみりゃはポケットから、引き抜かれた立ち枯れの木を取り出し、天に掲げた。 「「「ゆゆゆゆ!?」」」 誇らしげなティガれみりゃの様子に、本能的に身の危険を感じるゆっくり達。 金縛りをといて、それぞれ四方八方に逃げだそうとする。 『ぎゃおー♪ たーべちゃうぞぉー♪』 「「「ゆ、ゆぎゃぁぁぁぁっっっ!」」」 ゆっくりプレイスだったハズの山間の窪地は、あっという間に阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。 『れみりゃのおだんごぉー♪ とぉーってもおいしぃーどぉー♪』 ティガれみりゃは口ずさみながら、比較的大きめのゆっくりを摘むと、それを次々枯れ木に刺していく。 「「「ゆげぇ」」」 鳴りやまないゆっくり達の悲鳴。 あるゆっくりは岩陰や洞窟に逃げ込もうとするが、 ティガれみりゃは「うー、岩いらなーい!ぽいぽいぽぉーーい♪」と、 岩そのものを持ち上げどけて、隠れていたゆっくり達をつまみだした。 『うー、すごいどぉー! れみりゃは狩りの天才だどぉー♪』 やがて、そこそこ育って美味しそうなゆっくりを全て枯れ木に刺して、 ゆっくりだんごを完成させたれみりゃは、満足そうに自分を讃えた。 自分達は助かったのか? そう思った残りのゆっくり達は、おそるおそる隠れていた場所から外へでる。 『う~~~う~~~♪』 しかし、ティガれみりゃがリズムを刻みだしたのを見て、ゆっくり達は己の軽率さを憎み、 そして、短いゆっくり人生の終わりを実感するのだった。 『うっうーうぁうぁー♪ うっうーうぁうぁー♪』 どっすんどっすんと、喜びのダンスを踊るティガれみりゃ。 なんとかゆっくりだんごを逃れたゆっくり達も、あるものは踊るティガれみりゃの足や尻尾に潰され、 あるものは、ティガれみりゃのステップの影響で岩や土が崩落し、その餌食となった。 ゆっくり達の理想郷は、こうして壊滅した。 ……そう、一人の目撃者を除いて。 翌日。 ティガれみりゃの襲来をやりすごした目撃者。 その生き残りは、ティガれみりゃへの恐怖と、震えたまま動けなかった自分を呪い、 洞窟の奥から出ることが出来ずにいた。 「む、むきゅぅぅぅ……」 その生き残りの正体は、洞窟の最奥、もっとも地盤の安定した箇所に隠れていたぱちゅりーだった。 群れの全滅を嘆き、幼なじみのドスまりさとクィーンアリスの死を悲しみ、泣き続けるぱちゅりー。 昨夜、先に寝ていたぱちゅりーは、外が騒がしいのに気付き、一度は目を覚ました。 だが、外へ出ようとしたその刹那、ドスまりさがティガれみりゃに食べられるのを目撃してしまったのだ。 どうするべきか全くわからなくなってしまったぱちゅりーは、唯一残された生物としての本能、 すなわち"生き残る"という目的にのみ従って、こうして群れが全滅してティガれみりゃが去るまでの間、 隠れ続けていたのだ。 「むきゅぅぅぅぅ! むきゅうううううう!」 思い出しては、こみ上げる感情に逆らえず泣き崩れるぱちゅりー。 それから、また一日がすぎた。 朝日が山間の窪地を照らす中、ぱちゅりーは外へ出た。 その目に決意の炎を宿して。 二日近く考え抜いたぱちゅりー。 彼女は、ドスまりさ達の死を無駄にしてはいけないと考えた。 そして、生き残った自分だからこそ出来ることがあるはずだと結論づけた。 そう、他の群れにティガれみりゃという脅威を報せ、 ともに戦わなければならないと。 一方その頃、どこかの森で。 今日もティガれみりゃの歌が聞こえていた。 『ティ~ガティガティガ♪ ティガれみりゃ~♪』 to be continued 次回予告 『ティガれみりゃ2・異常震域』 ============================ (あとがき) 休日出社中、上司の机に『モンハン』のティガレックスのフィギュアが置いてありまして、 気付いたらこんなものを書き始めていました。……二次設定のSS書くの何年ぶりだろう(汗 「ゆっくり好き」+「れみりゃ好き」+「怪獣好き」+「モンハン好き」 そんな作者の妄執が具現化したようなSSですが、もし楽しんでいただけましたら幸いです。 ちなみに、言う必要も無いかもですが、ティガれみりゃの歌はアノ映画の歌が原型ですw ============================ このSSに感想を付ける
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<< ゆっくりズvs >> 初投稿です。 俺設定発生。 『ありえない奴』が出てきます。 賢いゆっくりが登場します(ゆっくりの出来る事超えてる?)。 ドスがでます(それ以外のゆっくりは漢字を使えません)。 人間が負けたりします。 描写に不自然なところがあると思います。 無駄に長いです。 陽が地平線に沈む頃、一匹のうーぱっくが空を飛んでいた。 「う~♪う~♪」 体であるダンボールには黒くて丸い物体が大量に入っている。 運び屋としての一面もあるうーぱっくは、報酬さえ払えば何でも運んでくれる便利な存在だ。 このうーぱっくも、とある人から依頼を受け荷物を運んでいる最中だった。 が 「う~♪う~♪―――うっ!?!?」 その時突風が! うーぱっくはたまらず体勢を崩す。 「うー!!うー!!」 しかし大きく揺れた際に荷の一部が地上に落ちてしまった。 「うー!!う~……」 何たる失態。運び屋としてあってはならないミスだった。 しかし大部分は無事であるのだし、黙っていれば雇い主にはばれないだろう。 「うー♪」 気を取り直したうーぱっくは、再び高度を上げ目的地に向かって行った。 某所の山の中。 とある洞窟の中。 非常に広い洞窟の中に数え切れないほどのゆっくりがひしめき合っていた。 それもそのはず。 山中のゆっくりが集まっていたからだ(一般的な普通種のみで捕食種は除く)。 この山のゆっくり達は、一匹のドスの群れに属していた。 ざわざわと騒ぐゆっくり達だったが、一段高い場所にこのゆっくり達を率いてきたドスまりさが現われると静かになる。 そして、ドスまりさがゆっくりと口を開く。 「よく聞いてね! みんなで話し合った結果……山を降りて人間を攻撃する事にしたよ!」 その言葉を聞いたゆっくり達は喜んだ。 今まで人間と関わりあう事を禁止していたドスがついに思い腰を上げたのだ。 ―――だが、ドスをそうさせたものはなんだったのだろうか? するとドスの後ろから数十匹のゆっくりが姿を現した。 そして、そのどれもがドスほどはいかないが、普通種では考えられない大きさになっている。 それぞれのゆっくりは二メートル近くあり人間より大きかった。 このゆっくりたちは、ある日突然急激に大きくなり、ドスの持つ特殊能力などは使えないが、 ゆっくりにはないほどの運動能力(ゆっくり基準)と高い知能(あくまでゆっくり基準)を持つようになっていた。 このように頼もしい仲間が増えた普通サイズのゆっくりたちはドスに要求した。 『もっとたくさんの食べ物を』 『もっと広い家を』 『もっとよいゆっくりプレイスを』 加え彼らはこれより少し前に、山の麓で村を作り始めた人間によって住処を追われ、その際に多くの仲間を殺されていた。 そのこともゆっくり達を駆り立てた要因かもしれない。 今までは人間にやられるだけだった。 だが、もうそれはおしまいだ。 この山にいるゆっくりおよそ1000。 この巨大なゆっくり達。 そしてドスまりさの存在。 今こそ―――戦いのとき! 「明日人間の村を攻めるよ! みんなのゆっくりプレイスを取り戻すよ!!」 「「「「「「えいえい、ゆーーーーー!!!!」」」」」」 洞窟にゆっくり達の声が響き渡っていた。 文々新聞、一面 『巨大ゆっくり、村を強襲!!』 先日、幻想郷某所の村にドスまりさや巨大ゆっくり十数匹が村に攻め入るという事件が発生した。 この村は先月、森を切り開いて作られた村で、今後の森林開拓の足がかりとなるはずの場所だった。 村を襲った巨大ゆっくりは普通サイズのゆっくりを従えており、その数は1000を超えていた。 村人は必死に戦ったが、数や巨大ゆっくりの大きさに圧倒され、村は現在無人状態。 ゆっくりに占拠されてしまっている。 今後、加工所の職員や有志を募り、ゆっくりの駆除に乗り出す模様だ。 『まさかのゆっくり! 人間が敗北!!』 今日昼過ぎ。 村を占拠するゆっくりを駆除するため、有志の鬼井さんや加工所の人間が村に乗り込んだ。 だが、ゆっくり達は村の周りにバリケードの杭を建て、人間の侵入を阻み、 村の中から投石攻撃を繰り出してきた模様。 さらにはうーぱっくを使っての空中投石もあったの事。 それをかいくぐり何とか村にたどり着くものの、入り口を守る巨大ゆっくり達に追い返されてしまったそうだ。 中には腕の骨を折るなどの重傷を負った職員もいる。 今後、増長したゆっくり達が近辺の村の制圧に乗り出すのも時間の問題とされており、 近辺の村や加工所は対策に追われている。 『ゆっくりは何が目的なのか? ゆっくりと村を改築中』 村を占拠したゆっくり達だが、なにやら村に穴を掘っている模様。 ゆっくりは地中に巣を作る習性があるため、そのための穴とも考えられる。 同時に、森の木々を使って杭を作り、村の外周警備をさらに固めた模様。 夜間はみはりを立てる用意周到さで、やはり何かを企んでいるのは確実といえる。 『ゆっくりの群れが拡大。それに対し河童達になにやら動きが』 ゆっくりが人間の村を占領したという噂は、周囲のゆっくりにも伝わったようで、 多くのゆっくりが村を目指して移動してきている模様。 群れはさらに多くなり、今では1500ほどのゆっくりを確認した。 一方、増え続けるゆっくりに対し、人間の盟友である河童達が何やら動きを見せている。 なんでも、外から流れ着いた『あるもの』を使って、日々怪しい実験を重ねているらしい……。 夜。 森のふくろうが鳴いている。 それに混じり「だいたいみんなひどいよ。わたしはおんなだよ」という愚痴が聞こえる。 虫達の声に加え、どこからともなく「そーなのかー」という声も聞こえる。 「ちーん、ちーん」という言葉は変だが綺麗な声も聞こえる。 そんな幻想郷の住民の声を無視し、その『視線』はある村に向かっていた。 村の様子を見る。 モノクロ―――紫外線探知 『視えない』 村の様子を見る。真っ赤―――光源探知 『視えない』 村の様子を見る。黒―――熱探知 『視えた』 わずかな熱移動を示す青い小さな塊。 拡大する。 同時に視聴精度も向上させる。 視えた。 聴こえた。 視線の主は村に向かって駆け出した。 「ゆ、ゆ、ゆ」 夜、満月が浮かぶ空。 ゆっくりに占拠された村。 村の入り口にはところどころ太めの杭が打ち込まれており、人間の侵入を防ぐ働きをしていた。 といっても人間から見れば気休め程度にしかみえないのだが……。 その周辺を警備する夜警ゆっくり達。 「ゆ、ゆ、ゆっくりいじょうな~し!」 村の中は畑や家がたくさんあるが、畑は無残に食い荒らされ、家の襖は破かれ外から丸見え。 家の中も荒らされ放題だった。 さらに、村の奥にある広場には大穴が開いていた。 ここ数日でゆっくり達が掘った穴で、いずれここに多くのゆっくりが来る事を見越して作った住居だった。 その地下は非常に広く掘られており、1000以上のゆっくりが暮らせるように考えられていた。 しかしいまは建設途中なので中には誰もいない。 ゆっくり達は村を占拠すると、ここを自分達にあったゆっくりプレイスにしたのだった。 家の中では何匹ものゆっくりが寝ており、その広場の横にある村一番の大きな家では、 ひときわ大きい……おそらく二メートル以上あるゆっくりまりさとれいむがいびきをかいていた。 このまりさとれいむは、今回村を襲った巨大ゆっくりの一匹で、占領の際人間と最も戦った功労を認められ、 前線基地のリーダーとして村に居座っていた。 「ゆびゅ~……まりしゃしゃまは……さいきょ~……なんだじぇ~……」 「ゆ~……まりさ~……かっこいいぃぃ~……」 時折薄ら笑いを浮かべつつ寝言言っている。 「ゆ、ゆ、ゆ、ゆっくりいじょうな~し」 入り口のれいむはさっきから馬鹿正直に点呼を繰り返している。 と、同じ見張りなのにうとうとしていた成体まりさが目を覚ました。 「ゆ~……れいむうるさいよ!ゆっくりねむれないよ!」 「ねたらだめでしょーーーー!!まりさもゆっくりみはってね!」 「まりさはねむいんだよ!よるはゆっくりねむるんだよ!」 「りーだーにいいつけるよ!」 「ゆっ……」 「うごかないからねむくなるんだよ! まりさはれいむゆっくりしないでこうたいしてね!」 「ゆ……ゆっくりりかいしたよ……」 「ゆっくりちゃんとみはってね!」 「ゆっくりりかいしたよ!」 れいむの剣幕にまりさは眠たい目を無理矢理あけて、れいむと見張りを交代する。 眠ってゆっくりできないのは苦痛だったが、リーダーに告げ口されて『永遠にゆっくりできなくなる』のはもっといやだった。 普通種のゆっくりは夜行性ではないため、夜間は巣の中で寝るのが普通である。 だが、このゆっくり達は夜の見張りを立て、夜間の襲撃に対処するという事をしていた。 このれいむとまりさの他にも、見張りを行なっているゆっくりは村の外周各所にいる。 全てが二匹一組で構成されており、警備には万全を期していた。 「ゆ、ゆ、ゆ、ゆっくりいじょ―――」 この瞬間までは 「ゆ?まりさ?」 突然聞こえなくなったまりさの声。 れいむは不審に思いまりさが歩いていた方へと向かう。 「まりさ?ゆっくりでてきてね?」 火からちょうど死角になっているところ、その小さな暗黒に――― 「まりさ?」 体を中心から上下に真っ二つにされたまりさが横たわっていた。 まだかすかに生きているのか「ゆ……ゆ……」とうめき声をもらしつつ、体をびくんびくんと痙攣させている。 「ゆ“ーー!?」 驚いたれいむは背を向け、異常を報せようと村に走ろうとした時――― 何かに口をふさがれ、そのまままりさと同じ暗闇の中に引きずられていった。 「~~~~~~!!」 ぐしゃ 最後の見張り役であるゆっくりまりさが潰れる。 口を押さえられている為に声も出せない。 中身の餡子が地面に飛び散る。 だが、まだ生きている。 「ゆっ、ぐじ……じ、だ、げっ……」 既に虫の息で悲鳴も上げられないが、体は痙攣し、その顔は苦痛でゆがんでいた。 まりさを杭に突き刺した人物は、続いて村の中へと歩を進めていった。 村の中にある一軒屋。 本来ならば人間が住むこの場所は、いまやゆっくりによって蹂躙されている。 居間の中心に布団が投げ出され、その上にゆっくりの家族が寝ている。 父まりさ、母れいむ、赤まりさ三匹に赤れいむ二匹だ。 「ゆ~……。ゆ~……」 「ゆゆゆゆゆ~……」 この日も日中は、畑の野菜を腹いっぱい食べたり、村の広場で他の家族と遊んだりした。 遊ぶほかにも、この村の拡張工事も手伝い、仕事の汗をかいた。 誰にも邪魔される事なく、最高のゆっくりプレイスでずっとゆっくりする……そんな夢が今まさに現実となっていた。 「ゆふふふ……まりしゃぁ~れいむしあわせ~」 母れいむが寝言を呟く。 その時だった。 ヒュンッ 「ゆ~……ゆぶぇっ!?」 突然の衝撃と圧迫感。眠気で朦朧としているが何かがおかしいことはわかった。 「ゆ、ゆっくりおき……ゆゆっ!?」 体が動かせない。よく見ると自分達は丸ごと何かに包まれてしまっているようだった。 家族の周りに網のようなものがまとわり付いている。 しかも包まれた衝撃で、布団からはじき出され部屋の隅まで来てしまっている。 「ゆ! ゆっくりやめてね! ゆっくりやめてね!」 何がなんだかわからないがこのままではゆっくり出来なくなると思い、暗闇に向かって叫ぶ。 「ゆぅ~……れいむ?」 「ゆ! まりさ! なんかへんだよ! ゆっくりできないよ!」 「ゆ……? ゆ!? なんでうごけないの!? れいむはゆっくりはなれてね!」 まりさとれいむはお互いの真正面を見つめあう感じで密着していた。 「だめだよ! れいむはうごけないよ! まりさこそゆっくりしないではなれてね!」 「まりさはうごけないっていってるでしょぉおおお! れいむがゆっくりはなれてね!!」 「れいむだってうごけないっていってるでしょぉおおおお!!」 二人がお互いを罵り合っていると。 「ゆ“~~~……」 と小さな声が聞こえた。 「「ゆ?」」 二人は一旦喧嘩をやめて不思議な顔をする。 そして視線を下に向けると…… 赤いリボンがわずかに動いているのが見えた。 なんと二人の間に赤れいむが挟まってしまっているのだ。 「ゆゆっ!! れいむのおちびちゃん!? ゆっくりしないででてきてね!」 「ゆ“ーーー!!」 なにやら体を動かしているが子れいむは出てこない。 「れいむ! れいむがまりさとこどもをはさんでるからでれないんだよ! ゆっくりどいてあげてね!」 「れいむはうごけないっていってるでしょ!! まりさこそゆっくりしないではやくどいてね!!」 再び言い争いが始まってしまう。 「ゆ~ん……うるちゃいよぉ~……」 「ゆっきゅしねらりゃれぇないよぉ~……」 他の子ゆっくり達が両親の声に目を覚まし始めた時だった。 シュルルルル 家族を包んでいる網の端側ががすごい勢いで回転を始めた。 それに対し反対側の網の端っこは家族を包み込むようにしっかりとホールドされていた。 結果、網はねじれるようになる。 雑巾を絞る感じだ。 そしてそれは中にいるゆっくりを――― 「ゆゆ!! なんかきつくなってきたよ!!」 「ゆっ! おちびちゃん! ゆっくりしないではやくでてね!」 「ゆ“~~~~~!!!」 網はどんどん家族を締め付けて行く。 「ゆ!! あみさんゆっくりしないでやめてね! れいむたちつぶさないでね!!」 「ゆ“ーーーきゅるちぃーーー!」 「まりぢゃだち“ちゅぶりぇちゃうにょー!」 「たずげでえ“え”え“え”え“え”!!」 赤まりさ達も外側から網によって両親に貼り付けられる。 「うぎぎぎぎぃぃぃ……」 まりさは潰されまいと全身に力を入れた。 その時。 ブチャ と、れいむとまりさの間から音がした。 「ゆ?」 二人が目線を下げてみると…… 二人の体の間にあったリボンの下から黒いものが染み出ていた。 「「……」」 「ゆびぃぃぃぃぃ!!! おきゃあちゃんとおちょうちゃんがいみょーとちゅぶちちゃあああああ!!」 「ゆびぇぇぇぇぇーーーん!! まりちゃ“のいも”ーどきゃあああーー!!!」 「ぴゅだりはゆっくぢじねぇえええ!!」 「「どぼじでそ“ん”な“ごどい”う“お”お“お”お“お”お“ぉ”ぉ“ぉ”!!」」 子れいむの罵倒に両親は涙を流しつつ弁解する。 そんなことしている間にも網はどんどん締め付けを強くしていく。 「ゆぐぐ……」 「ゆっぐ、り……でぎにゃ……」 すでにどのゆっくりも声を上げられない。そして 「……ゆびゃ!!」 網は両親の体を切り裂き食い込む。最後に子れいむたちの体を巻き込み一本の綱のようになる。 限界まで網が細くなると、まきつきは自動的に止まった。 家族を圧殺した網からは、なんともいえない甘い匂いが漂っていた。 「ゆぅ~?」 一番大きな家で寝ていた巨大まりさは目を覚ました。 原因は強烈に匂ってくる甘ったるい匂いだった。 「ゆ! これはあまあまのにおいだね!!」 あまあまのにおいに釣られ、まりさは夜の村に飛び出した。 ちなみにれいむはね入りが深いのか眠ったままだった。 「ゆんゆん……ここから匂うね!」 一番近くの民家に飛び込む。 そこには床にこびりついた大量の餡子があった。 「ゆっゆ~ん♪ あまあまさんゆっくりたべるよ!」 なにやら綱のようなもからあまあまは染み出ているようだ。 まりさはその上からあまあまを舌で嘗めとっていく。 「うっめ! これめっちゃうっめ!!」 その時、舌に妙な感触が。 「ゆ?」 それはリボンだった。それもよく見るれいむのリボン。 「ゆゆ~?」 広がる餡子。 その中かられいむのリボン。 よくみると黒い帽子のようなものも混ざっているような? 「……ゆ“ーー!?!?」 まりさは自分が食べたものに気がついた。 「どぼじでみ“ん”な“しんじゃっでる”の“ぉ”ぉ“ぉ”!?!?」 まりさは外に飛び出し他の家を見て回った。 綱のようなものから餡子が染み出している。 無造作に踏み潰された塊。 何かに真っ二つにされた体。 共通している事は、どの家にいるゆっくり達もすでに永遠にゆっくりしている事だ。 「見張りはどうじだぁぁぁーー!!!」 入り口のほうに向かう。 しかし、入り口はもっと酷かった。 体が上下に裂かれたれいむとまりさが杭の上に突き刺さっていたのだ。 他は家の中のゆっくり達と同じく、潰されたり無残に引きちぎられたりしていて全員死んでいた。 「ゆ“うううううう~!!!!」 恐ろしい光景の連続に、完全に我を失ったまりさは愛しのれいむの元へ逃げ戻った。 「でい”ぶ~~~~!!びん“な“じん”じゃっでるの“ぉ”ぉ“ぉ”お“お”お“お”お“お”」 しかし、れいむは全く反応しない。 まりさに背を向けて眠っている。 「でい“ぶ”! ざっざどお“ぎでね“!!」 れいむは寝ている。 「ゆ“っぐりお”ぎろぉ“ぉ”ぉ“ぉ”ぉ“!!!」 まりさがれいむに体当たりした。 と ズルッ 「ゆ“!?」 れいむの体が真横に真っ二つになり、上半分が床に滑り落ちた。 「……」 訳がわからなかった。 いつものように寝て。 あまあまの匂いがしておきたらみんな死んでいて。 戻ってきたられいむもすでに死んでいた。 すでにまりさの脳はパンクしかけていた。 だから―――後ろに立っていた死神にも気づかなかったのだ。 目の前にある丸い『モノ』。 熱探知すると今の状態がはっきりわかる。 発熱する周りの赤い部分。 その中央にあるわずかに温度が低い丸い部分。 これは極度の興奮状態と芯まで冷える恐怖に支配された状態だ 死神は突然姿を現すと、持っていた槍でまりさの体の芯―――温度が低い丸い部分を軽く一刺しした。 「ゆびっ!!」 …… ……しんじゃう? まりさしんじゃう? …… やだ やだやだ やだやだやだ しぬのはいやだ!!! しぬ! しんじゃう! なにがどうなってるの!? れいむのからだもどうなってるの!? みんなどうなってるの!? なんでまりさがこんなこわいめにあうの!? どすのせいだ どすがここをつかわせてあげるなんていったせいだ どすがにんげんをこうげきするなんていったせいだ どすがわるいのに まりさはわるくないのに まりさはにんげんをたおせるつよいゆっくりなのに ゆっくりしてたのに これからもゆっくり、するの……に もっ、と……ゆっく……りぃ――― 死神は動かなくなった『モノ』を見ている。 その表情は仮面の下に隠れていてわからなかった。 次の日の朝 森の中を移動するゆっくりの集団がいた。 その数、ざっと1500。 成体、子、赤ゆっくり。加えて巨大ゆっくり。そしてドス。 巨大化した普通種が数十匹いた。 皆食料を持っており、楽しそうに会話を楽しみながら移動している。 「きょうはゆっくりお引越ししようね」 ドスの大きさは3メートル以上もあった。 ドスと巨大ゆっくりを中心とした群れは、その数のせいもあって、まさしく民族大移動のようだった。 「うばったにんげんたちのむらにいくんだね!」 「みょーーーん!」 「おっきいれいむたちがいればにんげんなんかいちころだもんね!」 「これからはありすが、にんげんたちにとかいはがどういうものかゆっくりおしえてあげるわー!」 「おっきいみゃみゃだしちゅき~」 「おちびちゃん!あぶないからぼうしのなかからでるんじゃないぜ! ゆっくりしてるんだぜ!」 「このまえのにんげんたちもばかだったよねー」 「わかるよー。ちゃんたちがこわいんだよー」 「やっぱりにんげんなんてたいしたことないんだぜ!」 「もっともっとゆっくりぷれいすをひろくしようね!」 彼らは人間に宣戦布告し、手始めにふもとの村を乗っ取った。 緒戦は大勝した。 その後の襲撃も軽くいなした。 もはやゆっくり達の思考は、『人間は自分達でもあっさり倒せるもの』に変わっていた。 そして今日は、その更なる下準備のため、乗っ取った村へと引越しをしているのだ。 「どすやおっきいみんながいればあんぜんだね!」 「どす~みゅらにはまだちゅかにゃいの?」 「もーちょっとだよ、もう少し待っててね!」 「ゆ~♪ に~んげん~なんか~♪ よわい~♪ よわい~♪」 「にんげんのやさいはすべてまりささまがいただくんだぜ!」 「いなかもののにんげんなんてありすにかかればいちころよ!」 「はやくゆっくりぷれいすがひろがるといいね~」 「ゆ~♪ ゆゆゆゆ~♪ ゆ~♪」 「ゆっくりはつよさをあっぴるなどしてない……」 と、雑談に花咲かせている。 中にはにんっしんしているゆっくりも混ざっているが、ドスや巨大ゆっくりまりさの帽子の上や中に入りゆっくりしている。 ゆっくりたちは明るい未来を夢想してやまなかった。 ドスがいる 大きなゆっくりもいる 何より自分達は人間に勝った。 もっともっと、ゆっくりプレイスを広くしていこう そして、そこでいつまでもゆっくりしていよう そんな…… 都合のいい白昼の夢を見続けていた。 やがて村へと到着する一行。 「ゆっくりついたよ!」 一番に村に入った巨大ゆっくりまりさが元気よく挨拶する。 だが、いつもと様子が違う事に気づく。 いつもならゆっくり達がゆっくりしている声が家や広場から聞こえているはずだった。 「ゆ? ゆっくりしていってね!!」 さらに大きな声で挨拶する。が、村からは応答がない。 「ゆゆ? みんなゆっくりねてるのかだぜ?」 「まりさ~どうしたの~?」 巨大ゆっくりれいむが尋ねる。 「みんなのこえがしないんだぜ!」 ぞろぞろと森を越えて姿を現すゆっくり達。 「まだみんなゆっくりねてるのかな~?」 「ゆ~そんなことないはずだよ! 少なくともみはりのみんなはおきてるはずだよ!」 「みょーーーん?」 「みんなどうしたの!」 姿を現したドスが巨大ゆっくり達に尋ねる。 「むらのようすがへんなんだぜ!」 「わからないよー。みんながどこにもいないんだねー」 「ゆゆ? それはほんとう?」 ドスは一番近い民家を覗いてみた。 「ゆ? 中に誰もいませんよ」 民家の中はものけのからだった。 ドスは考えた。 「ゆ~……みんな! 大きい子についていきながら村の中を見回るよ! ぱちゅりーは何人かで食料を新しい巣に運んでね! 「「「「「ゆっくりりかいしたよ!」」」」」 ドスは役割分担を決め、村の検索隊と持ってきた食料を運搬するチームに分けた。 大きいゆっくりは今ではドスの補佐役といった感じで、群れのみんなはドスの指示を素直に受け止め的確に行動して行く。 そんな仲間達を頼もしく思いながら、自分も村の見回りを始めた。 「むきゅ? あれはなにかしら?」 食料運搬を任された、参謀巨大ぱちゅりーは妙な事に気がついた。 この参謀ぱちゅりーも巨大化したゆっくりなのだが、体の弱さはあまり改善されておらず、やはり頭を使う事多かった。。 ぱちゅりーが見たのは、自分達のやってきた森の木に村側を向いて付いている『黒いモノ』だった。 虫の匂いも草の匂いも土のにおいもしない。 舐めてみたが何の味もしない。 「むきゅきゅ~?」 「ゆ~! ぱちゅりー。ゆっくりしないではこうぼうよ~」 「むきゅ! ゆっくりいくわね」 考えてもよくわからないので、とりあえず与えられた仕事をこなす事にした。 ドスたちは村の中を探すが、先遣隊のゆっくり達はどこにもいなかった。 「ゆううう……みんなどこにいったんだろう……?」 「どす! こっちにもいなかったんだぜ!」 「こっちもいなかったよ!」 その時だった。 「ど、どすーーーー!!」 「「「「「ゆぎゃああああああああああああ」」」」」 「ゆ!?」 それは広場に作った新しい巣に食料を運びに行った参謀巨大ぱちゅりーと他のゆっくりの声だった。 声はとても切羽詰った様子で、ゆっくり出来ていない感じがした。 「ゆ!ぱちゅりーのこえだよ!ゆっくりしてないよ!」 「みんな行くよ!」 ドスたちは広場へと向かった。 村の一番奥にある広場にドス達は到着した。 「どうしたのぱちゅりー!?」 「むきゅ~~~~……」 「ごんなのがいはじゃないわあ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”」 「べにいいいいいいいいいいいいいいいずうううう!?!?!」 広場のすぐ入り口で参謀巨大ぱちゅりーと普通サイズのゆっくり達が錯乱状態になっていた。 周りに運んでいた餌が散乱している。 「どうしたんだぜみんな!!」 「わからないよー! ゆっくりしてよぉーー」 「あ、あれ……」 参謀巨大ぱちゅりーは目を閉じたまま上を見上げるように顔を向ける。 ドスはゆっくりと視線を上げた。 「!!!」 それはゆっくりにとっては悪夢のような光景だった(ゆっくりから見ると)。 広場には一本の木が生えている。 そして、その柱に貼り付けられているもの。 皮。 ゆっくりの皮。 ゆっくりの髪飾り。 中身の餡子を失ったデスマスクと髪飾りが棒に貼り付けてあったのだ。 その中にはひときわ大きい皮と髪飾りもある。 おそらくこの村を守っていた巨大まりさとれいむのものだろう。 そしてその木の根元には、そのゆっくり達の中身であったであろう餡子が固まっておいてあった。 その中には歯や目、舌なども混じっていた。 ゆっくりの餡子の塊の上に立つ、ゆっくりの皮をまとった木。 かつてゆっくり出来た広場は、死臭漂う地獄となっていた。 「どうな“っでるのお“お“お“ぉ“ぉ”ぉ“ぉ”ぉ“!?!?!?」 「おう“ぇえええええ」 「……」 「わがら“な”い”よ”ぉ“ーま”り“さ”がぁーーーー」 ドスはかろうじて正気を保ったものの、広場に来た普通ゆっくり達は相当ショックを受けたようで、 気絶するものや餡子を吐いてしまうものもいた。 「どすーーー」 先ほどの絶叫を聞きつけた他のゆっくり達が広場に集まってきていた。 「ゆ~。どす? なにがあっ…………びゃあああああああああああああ……うまい~」 「ゆ”ゆ”ゆ”ーーー!?!?」 「まりざがあ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”!!!」 「どうじでごんなごどになっでるのぉ“ぉ”ぉ“!!!」 「えれえれえれえれ」 「ゆーーー!! あかちゃんゆっくりあんこはかないでね!! ゆっくりできなくなるよ!!」 「ごんなんじゃゆ“っぐりでぎないいいいい!!!」 「い“や”だぁ“ぁ”ぁ“ぁ”ぁ“あ”あ“あ”ぁ“ぁ”ーーーーーー!!」 「ゆびぇ!! ふまないでええええー!?!? あか“ち”ゃんがあ“あ”あ“あ”!?」 広場にやってきてその惨状を見たゆっくり達はたちまち大混乱に陥った。 錯乱して精神異常をきたすもの。 ただただ絶叫するもの。 赤ゆっくりには特に刺激が強かったようで、既に餡子を吐いて絶命したもの。 混乱して飛び跳ねる他のゆっくりに潰されるもの。 その様子を見てわけもわからずわめくもの……。 まさしく、阿鼻叫喚の地獄絵図だった。 「み、みんな! ゆっくり落ち着いてね!! 大丈夫だからゆっくりおちついてね!!!」 ドスはみんなに呼びかけるが、あまりに数が多いためその声は喧騒にかき消されてしまう。 補佐役の巨大ゆっくり達でさえ、何匹かは気絶したり、わめき散らしたりしてしまっている。 ドスがただおろおろしていると、参謀巨大ぱちゅりーが言った。 「む、きゅ……どす……おーらよ、ゆっくりおーら……」 参謀巨大ぱちゅりーもクリームを吐いているが、容量が多い分まだしゃべれる余裕があった。 「ゆ! そうだったよ!」 ドスのもつ特殊能力『ゆっくりオーラ』。 ドスの体から発せられる特殊なオーラによって、周りにいる生物をゆっくりさせる力があるのだ。 「ゆ~。みんなゆっくり、ゆっくりしていってね~」 ホワワワワ~~ン 怪しげな効果音(心象風景)と共にオーラが発せられる。 オーラは広場全体を包み、やがてゆっくり達が落ち着きを取り戻す。 「「「「「ゆ~ゆっくりぃ~~~」」」」」 しかし、これには最大の弱点があった。 そろいもそろってみんな「ゆっくり~」な状態になってしまうため、群れを混乱に貶めた原因であるモノを片付ける事ができないのだ。 かといってこのままゆっくりオーラを止めたら、再び群れは大混乱になってしまう。 「(ゆ~……このままじゃどうにもならないよ)」 オーラはいつまでも出せるものじゃない。 しかも連続して出す事も不可能だ。 再び群れが混乱に陥ったら納める事は出来ないだろう。 「(ゆ“~~~誰がたすけてぇぇぇぇ!!)」 ドスが心の中で助けを叫んだ瞬間だった。 シュバッ ズガーン 「ゆ!!」 突然の爆発音。 ドスはオーラを出す事も忘れそちらの方向を振り返った。 燃えていた。 ゆっくりの皮と髪飾りが貼り付けられた木が。 その下にあった餡子も燃えていた。 ゆっくりには火葬という概念はない。 仲間たちの死体はありがたく食料とするか、そのまま土に返すかである。 ドスもなんとかして仲間の死体を丁寧に葬るつもりだった。 しかし、今その死体が火の中で燃えている。 ゆっくりのデスマスクは炎の中であぶられ変形し、火で焼かれる苦痛でないはずの表情を歪めているようだった。 「ど、ど、ど、どうなっでるのお“お”お“お”お“お”!?」 「ゆ~? どす~? ゆっくりしていってね!」 ゆっくりオーラがなくなったため一部のゆっくり達が意識を取り戻す。 ゆっくりオーラでゆっくりしたゆっくり達は、先ほどまでの記憶なんぞ忘れてしまっている。 「ゆ~!! きれいなあかあかだね~!」 「でも、ちょっとあちゅくてゆっくりゅできにゃいね」 「ゆっくりはなれるよ! ゆっくりみるよ!」 「ゆ~ゆ~ゆ~! とってもあかるいよ~」 その下で燃えているものが何なのか判別できないゆっくり達は、真っ赤に燃え上がる木をみて楽しそうな声を上げている。 「みんななによろこんでるのぉぉぉ!? まりさたちが燃えちゃったんだよおおお!?!?」 「ゆ? なにいってるのどす? まりさたちなんかいないよ?」 「そーだよ。 れいむたちきれいきれいみてるんだからじゃましないでね!」 「ゆっくりさせてくれないどすはゆっくりしね!」 「な“ん”でぞん“な”ごどい“う”の“ぉ”ぉ”ぉ“ーーー!?」 燃えてるものが何なのかわからないゆっくりたちはドスを罵倒する。 そんな広場の状況を『彼』は静かに観察していた。 広場の状況を確認する。 彼は仮面をつけていた。 仮面は目の部分がモニターとしての役割も果たしており、ゆっくり達を認識するとデータを映し出した。 <対象危険指数> 『普通種ゆっくり―――危険指数……データ化不可』 『巨大ゆっくり―――危険指数100/01』 『どすゆっくり―――危険指数100/05』 <対象処理方法> 『普通ゆっくり―――放置』 『巨大ゆっくり―――放置』 『どすゆっくり―――作戦対象個体:捕獲(最優先)』 続く
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ティガれみりゃ その2 ======================== ≪はじめに≫ 『ティガれみりゃ』の続きになります。 他の作者様の設定や名称を一部使わせていただいております。 パロディネタおよび、自分設定有りです。 虐め……というのとは少し違うかもしれません。 すみません、まだ続きます。 文字数設定の関係上、改行が変な箇所があるかもしれません。 (あまりにも読みづらいようでしたら、修正版をupします) 以上、何卒ご理解・ご容赦ください。 ======================== 2、異常震域 月夜の下に広がる森。 小動物達が俄にざわめきだし、 彼等がさきほどまで寝床にしていた木々が、バキバキと折れていく。 その原因は、全て一体の巨大生物によるものだった。 よったよった、どったどった。 よったよった、どったどった。 短い足で、不器用なステップを踏みながら、 その巨体とは裏腹に、実にゆっくり進んでいく巨大生物。 『ティ~ガティガティガ♪ ティガれみりゃ~♪』 その巨大生物、通称・ティガれみりゃは、 歌いながら楽しそうに夜の森を往く。 見た目は、中綿たっぷりの、だぶだぶくたくたの恐竜型ぬいぐるみ。 恐竜の口の部分がぱっくり開き、そこにれみりゃ種特有の、憎たらしげな下ぶくれスマイルが覗いている。 だが、その滑稽な見た目に反して、その体は尻尾をあわせれば20メートルにも届かんとする巨大さを誇る。 短い手足をバタバタさせて、「うぅーうぅーうぁうぁ♪」とやるたびに、足下の生物達は生命の危険にさらされる。 それゆえ、数多くの命が暮らすこの森にあっても、 意図的にティガれみりゃに近づこうとする者は、まずいない。 『ティ~ガティガティガ♪ ティガれみりゃ~~♪ とぉ~ってもぷりちぃ~~ティガれみりゃ~~♪』 本人はといえば、そんなことは気にも留めず、相変わらずの御機嫌ノリノリで森を進む。 いっそさっさと通過するなら、 動物達や森で暮らす他のゆっくり達にとっても、まだマシだった。 けれど、ティガれみりゃにそんな空気を読む力があるはずもなく、 よったよった、えっちらおっちら。木を倒し、ゆっくりを踏みつけ、動物達を脅かして歩いていく。 「ゆゆゆっ! ティガれみりゃはゆっくりしないで、どっかへいってね!」 「ゆぅ~~! おかーしゃん、こわいよぉぉっ!」 ティガれみりゃの足下、逃げ遅れたれいむの親子が、木々の影に隠れていた。 こんな恐い場所からはさっさと逃げ出したかったが、 ティガれみりゃが歩く度に震動が起こり、なぎ倒された木々が倒れてくるせいで、 おちおち移動することもできずにいた。 「おかーしゃーん! おかーしゃーーん!」 「だ、だいじょうだよ! あかちゃんのことは、れいむが守るよ!」 身を寄せ合い、震える親子。 そんな親子の願いが通じたのか、 ティガれみりゃは親子を踏みつけることなく、 そのすぐ横を通過して、森の奥へと向かっていく。 「ゆぅ~~~? なんとか助かったよぉ~~!?」 「やったねぇ~~! おかーしゃーん!」 顔を見合わせ喜びあう、れいむの親子。 だが、次の瞬間。 どっすん! 「ゆべぇぇぇっっ!」 「ゆぐぎゃぁぁぁ!」 ティガれみりゃの尻尾が振り下ろされ、れいむの親子はぺちゃんこに潰される。 残されたのは、地面に貼り付けられた、あんこの染みだけだった。 『ティ~ガティガティガ♪ ティガれみりゃ~~~♪』 もちろん、ティガれみりゃが一々そんなことに気付くはずもない。 ティガれみりゃは、その後も歩き続け、30分後目的地の前で足を止めた。 『う~~、ついたどぉ♪ さっすが、れみりゃ! すらっとのびたあしは、あるくのもはぁやいどぉ~♪』 自分の短足・鈍足を棚に上げ、自画自賛するれみりゃ。 ちなみに、ここまで歩いてきた平均歩行速度は、その巨体からすれば驚くほど遅い時速4kmしかない。 うぁうぁダンスをしながらの歩行とはいえ、この遅さこそ、この突然変異種が"ゆっくり"であることの証ともいえる。 『う~♪ みんなぁ~まっててねぇ~♪』 猫なで声をあげるティガれみりゃ。 ティガれみりゃの目の前は崖になっており、その中の一角に沢山の岩が積み上げられていた。 岩の奥には巨大な洞穴が広がっており、そこがティガれみりゃの巣穴となっていた。 "こーまかんのあるじは、留守のあいだのとじまりもかんぺきだどぉー♪" ティガれみりゃはそう言って、洞穴の入り口に岩を積み上げ、栓をしていたのだ。 『うー、岩はじゃまだどぉ! ぽいするのぽーい♪』 言うや否や、ひょいひょいと岩を持ち上げ、ぽいぽい投げ捨てていくティガれみりゃ。 その岩を積み上げたのが自分自身であることは、既に忘れてしまっているらしい。 『うー♪ あいたどぉ♪』 積み上げられた岩のバリケードは瓦解し、その先に大きな洞穴が姿をみせる。 長年をかけて山の地下水が空けた空洞は、ティガれみりゃが余裕で入れるほどの大きさだ。 『れでぃ~は、しっかりかぎをしめるどぉ♪』 洞穴の中に入ったティガれみりゃは、再び岩を積み上げ、洞穴の入口に栓をしていく。 『うっ? おかしぃーどぉ、岩がたりないどぉー?』 手近な岩を全て積み上げても、洞穴の入り口はまだ半分ほどしか塞がれていなかった。 ついさっき、ティガれみりゃ自身が岩を「ぽぉ~い♪」してしまったためだ。 『う~~! だれか岩をもってきてぇ~~!』 叫ぶが、当然そんな誰かがいるわけもない。 『うー・・・』 ティガれみりゃは、岩をあきらめ、洞穴の奥へと歩を進める。 すると、そこにはティガれみりゃの帰りを"待っていなかった"たくさんのゆっくり達がいた。 「「「うーっ!! ゆっくりしねっ!」」」 『う~♪ ふりゃ~ん、ただいまだどぉ~♪』 ティガれみりゃが満面の笑顔を浮かべた先、 そこには、いるはいるは、胴体付き・無しあわせて100体近いゆっくりフランたちがいた。 「「「しねっ! ふらん達をとじこめるティガはゆっくりしねっ!」」」 笑顔を向けるティガれみりゃに対して、ゆっくりフラン達は明確な敵意を露わにする。 全員が中空に舞い上がり、臨戦態勢をとりながらティガれみりゃを睨み付けている。 『うっう~♪ そんないじわる言っちゃダメなんだどぉ~♪』 その敵意をまるで理解していないのか、 ティガれみりゃは、よったよったとフラン達の下へ近づいていく。 だが、フラン達の集団は、すぅーと静かに移動し、ティガれみりゃが近づいたぶんだけ距離をとる。 『うぅ~~?』 不思議そうに顔を傾けるティガれみりゃ。 額に少し汗を浮かべつつ、今度はお気に入りのフレーズとポーズを決める。 『ぎゃお~♪ いっしょにあそんでくれないと、た~べちゃうぞぉ~♪』 バッチリだ。 ティガれみりゃは自分に惚れ惚れした。 こんなにもかっこよくて、ぷりちぃ~な自分の姿を見せられては、 照れ屋さんなフラン達もメロメロになって、自分に寄ってきてくれるにちがいない。 手を大きく広げて、いつでもフラン達を受け止められるように準備するティガれみりゃ。 ……だが。 「「「…………」」」 ゆっくりフラン達は微動だにせず、軽蔑するような冷たい視線をティガれみりゃに送るだけだった。 『うぅ~~~~……』 ティガれみりゃは困ってしまった。 そして、なんだか鼻の奥が少し熱くなっているのを感じた。 『うー♪ ふりゃーん♪』 すすすっ。 『まつんだどぉ~♪』 すすすっ。 『うっう~うぁうぁ~♪』 すすすっ。 ティガれみりゃは何度となく、フラン達とのスキンシップを試みようとアプローチを繰り返す。 しかし、フラン達は、そんなティガれみりゃに敵意だけを向けて、空中を静かに逃げ回るだけだった。 『うぅぅぅぅ……。なんで、れみりゃをむしするんだどぉ……』 目の端にたまる涙が流れ出さないよう、鼻の上に力を込めてこらえるティガれみりゃ。 その瞬間、ティガれみりゃは大事なことを思い出し、ぱぁーっと顔を輝かせる。 『うー! そうだどぉ! 忘れるところだったどぉ!』 ティガれみりゃはゴソゴソとポケットに手をつっこみ、一本の枯れ木を取り出して掲げた。 『うっうー♪ れみりゃとくせいのおだんご~♪ とぉーってもおいしぃどぉー♪』 ティガれみりゃが掲げたもの。 それは、ちょうど昨晩、ティガれみりゃが山間の窪地に築かれたゆっくり達の集落を遅い、 ゆっくり達を枯れ木に突き刺して作った、れみりゃ印の"とくせいゆっくりだんご"だった。 きっとフラン達はおなかが空いていて、それで遊ぶのを嫌がっているに違いない。 そう結論づけたティガれみりゃは、そのゆっくりだんごをフラン達に向ける。 「「「…………」」」 しかし、フラン達は何の反応も示さなかった。 それもそのはず。 本来、生粋の捕食種であるフランは、生きた獲物を捕らえ、嬲り、そして圧倒的な力を誇示しながら食すのだ。 野生の動物がそうであるように、誇り高き捕食者は、生きた獲物にしか興味を示さない。 死んだ獲物を食べるなど、食べ残しで生をなすハイエナか、意地汚い被捕食種ゆっくりくらいのものだ。 少なくとも、このゆっくりフラン達は、その矜持を忘れてはいなかった。 『うぅ? どうしたんだどぉ? おいしぃおかしだどぉ?』 ちっとも興味を示さないフランに、戸惑うティガれみりゃ。 『う~! たべないと、た~べちゃうぞ~!』 おかしなことを口走りつつ、ティガれみりゃは無理矢理ゆっくりだんごをフラン達に近づける。 けれど、フランはゆっくりだんごを食べることはなく、空中からティガれみりゃを睨むだけだった。 「うぅー……どぉーしていうこときいてくれないんだどぉー……」 どっすん! ティガれみりゃは目尻に涙を浮かべながら、地面に座り込む。 その刹那。 何匹からのフランが、この時を待っていたかの如く、 急にスピードを上げて飛行を開始した。 目指すは、この洞穴の出口! このフラン達は、空腹にも耐えながら、 ティガれみりゃに隙ができるこのタイミングを狙っていた。 「「うーっ!!」」 赤い弾丸となって、洞穴の暗闇を裂くフラン達。 『うーっ!?』 遅れながらも、数匹のフランが脱走しようとしていることに気付くティガれみりゃ。 しかし、いくら巨大なティガれみりゃといえ、敏捷性は小型のゆっくりフラン達の方が上。 ゆっくりフラン達の脱出は成功するかに思えた。 『うーっ!! 逃げちゃだめぇーっ!!!』 ティガれみりゃは、もっていたゆっくりだんご……もとい立ち枯れた木を、 いままさに洞穴の外へ出ようとしていたフラン達に投げつけた。 「「ううーっ!」」 いきおいよく飛んでいった木は、見事フランに命中する。 そして、尖った枝はフラン達に突き刺さり、彼女達を"ゆっくりだんご"の一つにしてしまった。 「「ううっ!!??」」 その光景を見て驚く、他のゆっくりフラン達。 彼女達は、今回の脱出計画がうまくいき次第、同様の手でこの洞穴から抜け出そうと考えていた。 『だぁーめぇぇぇ! ふりゃんはれみりゃとあそぶのぉぉっ!!』 洞穴の中にティガれみりゃの叫びが響き渡る。 『う~~~! 逃げちゃ、めぇ~~なの! はやくもどってくるのぉ!』 ティガれみりゃは、ゆっくりだんごと化したフラン達へ呼びかける。 「う、うぅぅぅぅ……」 「ゆ、ゆっぐり、じねぇぇぇ……」 他ならぬティガれみりゃの手によって、ゆっくりだんごとなったフラン達は、 当然動くこともできず、地獄の苦しみを味わっていた。 極めて高い生命力と再生力を持つゆっくりフランであったが、 数日前にこの洞穴に連れ込まれてからといたものの、食べたのは最初から洞穴内に住んでいたゆっくりや、小動物だけ。 ろくな食事もとらぬまま体を貫かれたフラン達は、本来の再生力も発揮できず、間もなく息を引き取った。 『う~~? ふりゃ~~ん?』 フラン達の様子がおかしいことに、ようやく気付いたティガれみりゃ。 が、時すでに遅く。ゆっくりだんごとなったフランは、二度とティガれみりゃの声に反応することはなかった。 『うぁぁぁぁぁっ! なぁんでだどぉぉぉっっ!?』 数匹とはいえ、フランが死んでしまったことを知り、 ティガれみりゃはこらえていたものを一気に噴出させる。 『うわぁぁぁぁぁぁん!!』 その鳴き声は凄まじく、洞穴を反響して振るわせる。 『しゃくやぁー! しゃくやはなにしてるんだぉー! ふりゃんがぁーーーっ!!』 来るはずもない、遺伝子に刻み込まれた従者の名を連呼するティガれみりゃ。 ドタンと大の字に倒れ込み、仰向けのまま手足をバタバタさせる。 『ひっく、ひっく、ひっく……うぅー…ふりゃーん……』 嗚咽を続けるティガれみりゃ。 『うぅ……うぅ……』 ティガれみりゃの涙は本物であった。 ティガれみりゃには、"ゆっくりフランを自分の巣に閉じこめて愛でようとする"習性があるのだ。 ゆっくりフラン達からすればたまったものではないが、 ティガれみりゃからすれば良かれと思ってやっていることだった。 『……うぅ……うぅ?』 ひっくひっくと肩で泣くティガれみりゃ。 やがて、涙もかれてくると、今度は眉根をへの字にしかめさせた。 『うぅー……泣いたら、おなかがへったどぉー♪』 今までの涙がウソのよう。 すっかりいつも通りの下ぶくれスマイルを作って、自分のお腹具合を心配しだすティガれみりゃ。 れみりゃ種……ひいてはゆっくり全体に見られるこの思考の切り替え・責任転嫁は、 あるいは"辛いことはさっさと忘れる"ことでゆっくりしようという、ゆっくり達なりの知恵なのかもしれない。 『うっうー♪ 今日はひさしぶりにぷっでぃーんが食べたいどぉー♪』 そう言うと、れみりゃは自らの体を起こそうとする。 起こそうとして……違和感を覚える? 『う~、はやくぷっでぃん食べにいくどぉ♪』 せーの! 体を起こそうとするティガれみりゃ。 『う~♪』 よいしょ! 『うーーっ!』 こらしょ! 『うーーっ! うーーーっ!!』 ティガれみりゃは何度も上半身を起こそうと試みる。 しかし、起きあがれるのはせいぜい頭部のみで、 筋肉のついてないお腹はすぐにプルプル震えだし、力尽きてしまう。 ずてーん! 体を起こすことができず、ティガれみりゃは後頭部を地面にぶつける。 『ぅぅぅぅぅぅぅぅ~~~~っ』 後頭部の痛みに、ティガれみりゃは鼻の上のあたりを真っ赤にしながら、声にならない嗚咽をもらす。 その後も何度か起きあがろうとするが、結果は同じだった。 『うわぁぁぁぁん! 起きられないどぉーーーっ!』 泣き出すティガれみりゃ。 ゆっくりゃザウルスにも見られる傾向であるが、 ティガれみりゃもまた、仰向けに倒れてしまうと中々立ち上がることができないのだ。 『しゃくやぁぁぁ! はやくおこしてくれないと、なーいちゃうぞぉーー!』 既に泣いてるって! 洞穴に残されたゆっくりフラン達が、心の中で一斉に突っ込む。 そして、捕食種の本能がそうさせるのか、起きあがれないティガれみりゃを見ると、 ゆっくりフラン達は一斉にティガれみりゃへの攻撃を始めた。 今、一斉攻撃をすればティガれみりゃを倒せると判断したのだ。 「うぅーっ!」 「ゆっくりしねっ!」 「ティガれみりゃはしねっ!」 「ゆっくりしないでしねぇぇ!」 「しねしねしねしねぇぇぇーーっ!」 ゆっくりフラン達の怒濤の攻撃。 噛みつき、体当たりし、にくまんの顔に拳を打ち込み、 レーヴァティンと呼ばれる突起物をガシガシ叩きつける。 これだけの集中攻撃を受ければ、たとえドス種であってもひとたまりもないだろう。 ゆえに、経験したことの無い脅威に対して、本能が誤った判断を下したとしても責めることはできない。 『うぅぅ~~~? ……ふりゃんたち、れみりゃをなぐさめてくれるのぉ?』 フラン達の攻撃を受ければ受けるほど、ティガれみりゃは徐々に泣きやんでいく。 ティガれみりゃに、ふらん達の攻撃は効いていなかった。 それどころか。 『う~~♪ くしゅぐったいどぉ~~♪』 とうとう下ぶくれスマイルを取り戻し、きゃっきゃと喜びはじめてしまった。 「「「うぅーーっ!?」」」 自慢の攻撃が全く効いておらず、流石に驚愕をあらわにする、ゆっくりフラン達。 もし、ティガれみりゃが起きられずに泣いている間、ティガれみりゃに構わず逃げ出していたらなら、 今頃このフラン達は気持の良い満月の夜空を謳歌していたことだろう。 しかし、もう遅い。 「しねっ!しねっ!」 『う~~~?』 ティガれみりゃのにくまん顔に馬乗りになり、拳を打ち続けるゆっくりフラン。 その姿を見たティガれみりゃは、肉まん脳をフル回転させる。 『うー! ひらいめいたどぉー!』 ティガれみりゃは、うんしょ、うんしょと、 苦労しながら体を回転させ、徐々に俯せの姿勢へとなっていく。 その間、ティガれみりゃの体にまとわりついていたフラン達は振り落とされ、 離陸に失敗したものは、そのままティガれみりゃの体に押しつぶされてしまった。 俯せになったティガれみりゃは、両手を使い、上半身を起こす。 と同時に、膝を立て、両手と組み合わせることで立ち上がっていく。 『う~~~~! やったどぉ~~~~!』 バンザーイ!と両手を大きく広げて、立てたことをアピールするティガれみりゃ。 『すっごいどぉー! れみりゃはやっぱり天才だどぉ♪』 「「うううううう……」」 喜びを爆発させるティガれみりゃに対し、 フラン達はせっかくのチャンスを無駄にしてしまったことを悔しがる。 『うっう~うぁうぁ♪ うっう~うぁうぁ♪』 どったばったと手足を動かし、洞穴の中で踊り出すティガれみりゃ。 ティガれみりゃが踊る度に、洞穴が揺れ、天井からは希に小さな石つぶが落ちてくる。 身の危険を感じ、洞穴の奥で一カ所にかたまるゆっくりフラン達。 『ティガ☆れみ☆りゃ☆う~~~♪』 ご自慢のダンスを踊りきり、最高にハイになるティガれみりゃ。 やっぱり自分ってば凄い! かわいいし! かっこいい! 頭もいい! こうまかんのおぜうさまにふさわしい、すてきなれでぃーだ! ティガれみりゃは御機嫌なまま、洞穴のすみっこに固まるフラン達に向き直る。 さぁ、こんどは何をして遊ぼう? そんなことをティガれみりゃが考えた時だった! 「……ぅー」 『うっ?』 ティガれみりゃは、頭の奥の方で、自分を呼ぶ声が聞こえた気がした。 「……ぅーぅー」 まただ。 やっぱり誰かが自分のことを呼んでいる。 だって、あたまのなかで声がするんだもん。 そう結論づけたティガれみりゃは、周囲をきょろきょろ見回したのち、 どったどったと慌てて洞穴の外へと出て行く。 「…う?」 残されたフラン達は、その様子を不思議そうに眺めていた。 洞穴の外。 ティガれみりゃはそらを見上げて目をこらす。 『うー……、うー……、うーっ♪』 空を飛ぶあるものを見つけ、歓声をあげるティガれみりゃ。 空を見上げる視線の先では、うーぱっくの親子が満月の夜空を横断していた。 『う~~♪ まっでぇぇ~~♪』 うーぱっく達を見つけたティガれみりゃは、 そのままうーぱっく達の後を追って歩いていく。 『う~♪ まつんだどぉ~♪ れみりゃもおそらをとぶんだどぉ~♪』 よったよった、どったどった。 よったよった、どったどった。 ティガれみりゃは楽しそうに、うーぱっく達の後を追う。 空を飛ぶうーっぱくと、地面をどすどす歩くティガれみりゃでは、どんどん間の距離が離れていってしまう。 現に、すでにうーぱっく達はれみりゃの視界から消えていた。 しかし、れみりゃには不思議な確信があった。 このままこちらへ歩いていけばよいのだと。 「ぅーぅー」 「ぅーぅー」 「ぅーぅー」 だって、頭の中にあのうーぱっく達の声が聞こえてくるのだから。 そして、この声の先には、だいたい美味しそうなおまんじゅう達がいっぱいいるのだ。 『う~~♪ まっててねぇ~ふりゃ~ん♪』 笑顔で闊歩するティガれみりゃ。 ふと空を見上げると、おしそうな真ん丸お月様が輝いていた。 まるでおまんじゅうみたい。 でも、色はぷっでぃーんに近いかな? そんなことを考えながらティガれみりゃは木々を押し倒していく。 こんなにもお月様が美味しそうだから、歌っちゃおう♪ ティガれみりゃは短くずんぐりむっくりした手足を、うぁうぁと動かす。 『ティ~ガティガティガ♪ ティガれみりゃ~♪』 一方、その頃。 洞穴に残されたフラン達は、ティガれみりゃがいなことを確認して、月夜へ飛翔を開始していた。 余談だが、その後しばらく、ゆっくりフランによる必要以上のれみりゃ種への虐待が続いたという……。 to be continued 次回予告 『ティガれみりゃ3・(タイトル未定)』 ============================ (あとがき) byティガれみりゃの人 ……とか名乗っておいた方が良いのでしょうか? どうも、前回『ティガれみりゃ』を書いた者ですm(_ _)m とりあえず今回が2回目です。 1回目を書いた時点で、今回の範囲まではほぼ終わっていたので、 連日になってしまいましたが、upさせていただきました。 (少しでも楽しんでいただければ幸いです) その3は……しばらくお時間をいただくことになるかもしれません(汗 なお、作中のティガれみりゃとうーぱっくの関係ですが、 某有名怪獣映画のとある設定のオマージュにだったりしますw ============================ このSSに感想を付ける
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飼い主としての 4KB 小ネタ ちょっとシモの表現があります 右手のリードを弄びながら、何とはなしに空を見上げると、真っ青な空が広がっていた。 少し前までの肌寒さも影をひそめ、ぽかぽかとした陽の光が体に心地よい。 もう半そででもいいくらい――というのは流石に言いすぎか。 小春日和、散歩日和。 こんな日は気分も大らかになろうというものだ。 「おにいしゃん! ゆっくちおねがいしゅるよ! きゃわいいれいみゅがおねがいしゅるよ!」 媚びるように体をくねくねさせるれいむの、いきなりの『お願い』とやらを聞いてやる気になったのも、この陽気のせいだろう。 甘い顔をするのはよくないのだろうが、こんな気持ちのいい日にわざわざ目くじらを立てるのも馬鹿馬鹿しい。どうせ「あまあまちょうだいにぇ!」とかなんとか、そんなところだ。たかが知れている。 ちょうど俺のポケットには食べ物が入っている。――あいにく甘いものではないが。 散歩中いつでも与えられるようにと、ペットフードを持ってきているのだ。甘い飼い主だと自分でも思うが――まあ実際、何事にも俺は甘いのだろう。 リードをいじりながら、俺はれいむに尋ねる。 「お願い? 何だ?」 「ゆふふ~ん! ききちゃい? おにいしゃんは、きゃわいいれいみゅのおねがいをききちゃいの?」 「……もう帰るぞ?」 少しだけカチンときてしまった。 右手をひねり、弛んだリードを手首に巻く。そしてれいむから顔を背けると、 「ゆわわっ! ゆっくちごめんにぇ! ゆっくちしていっちぇにぇ!」 慌てた様子のれいむは、飛び跳ねながら、揉み上げを器用に上下させはじめた。――いわゆる『愛で派』ならイチコロの仕草だろう。 「……で、お願いってのは何なんだよ」 いっそ無視しても良かったが、この辺が俺の甘いところだ。 「ゆっ! あにょね! じつは、れいみゅが――」 あっ、と思った時には、れいむが大きな影に圧し掛かられていた。 「ゆびゃあああああああっ!? やめちぇ……やめちぇえええええっ!!」 「うわっ、ちょっと待て! 待て!」 言いながら、俺は右手のリードを軽く引いて、千切れんばかりに尻尾を振りながられいむにかぶりついているポチ――俺の愛犬――を制止した。 「なんでいぬしゃんがいるにょおおおおおおっ!? いぢゃっ……いぢゃいいいいいいいっ!! れいみゅのきゃわいいおかおっ! おきゃおがあああああっ!?」 れいむは、そこの草藪の中で排泄していたポチに気づかなかったらしい。入れ違いに少し離れた草藪から出てきたから仕方ないのかもしれないが、それでも俺の手にあるリード――もちろん、ポチにつながっている――を見ればわかりそうなものだ。――いや、ゆっくりにそんな事を言うのは酷か。 「ポチ、待て! ――よーし、いい子だ」 ポチは咥えていたれいむを放し、俺に向き直った。 なおも尻尾を振りながら、何かを期待しているような目で俺を見上げるポチ。俺は腰をかがめ、その小さな頭に軽くチョップした。 「拾い食いは駄目だって言ってるだろ? 病気になっちゃうぞ?」 ポチは――犬は、甘いものも、ちょこまかと動く物体も大好きだ。そんな彼らにとって、ゆっくりは格好の遊び相手なのだろう。それはわかる。ましてやポチはまだ仔犬。遊びたい盛りだ。 しかし、だからといって好き勝手に遊ばせるわけにはいかない。おもちゃにするだけならともかく、下手に口に入れられでもしたらことだ。野良ゆっくりなんて不衛生の塊だし、糖分の取り過ぎだって怖い。今日び、飼い主たるもの、自分だけでなくペットのメタボにも注意しなくてはいけないのだ。 俺はポケットからペットフード――犬用ジャーキーを取り出し、小指の先ほどにちぎって、ポチの口に運んでやった。 尻尾を振りながら満足そうに口を動かすポチの頭を、わしわしと撫でてやる。 「ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ……」 俺たちの足元で、れいむは小刻みに痙攣していた。両目は潰れ、いびつに開かれた口と泌尿器からは、だらしなく砂糖水を垂れ流している。 ポチに噛まれたその柔らかい体は、右上から左下にかけて袈裟懸けにぱっくりと割れて、中からは餡子が漏れ出していた。まるで石榴のようだ。 素人目にもわかる――これはもう駄目だ。死ぬ。 そう思った俺は、最期にれいむに尋ねた。 「れいむ、『お願い』って何だったんだ?」 「……ゆ゛っ……もっどゆっくち、しちゃ……かった……」 そう言ったきり、れいむは動かなくなった。 もっとゆっくりしたかった――。 それが俺への『お願い』だったのだろうか。――いや、それはないか。 ともあれ、もうどうでもいい話だ。野良ゆっくりの『お願い』なんて、たかが知れている。 俺は左手に下げたトートバッグからスコップを取り出し、れいむの死体を拾った。そのまま草藪に入り、ポチのフンも拾う。 そしてそれらを、同じくトートバッグに常備しているエチケット袋に突っ込んだ。 れいむは放っておいても良かったが――ゆっくりの死体なんて珍しくもない――ポチのせいでこうなってしまった以上、そういうわけにもいかない。 フンの回収と同じ。言ってみれば、これは飼い主としてのマナーというものだ。 (了) 作:藪あき 藪あきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 見ず知らずの野良のくせに「ききちゃい?おにいしゃんは、きゃわいいれいみゅのおねがいをききちゃいの?」だと…! 一瞬で地獄見せられてもおかしくないレベルのウザさなのに、優しいお兄さんだ。 -- 2011-01-21 22 17 35 ゆっくりが飼いかとおもってだまされたよww -- 2010-07-25 04 34 35 ポチは名犬だなぁ! 偉いぞ!とっても!! -- 2010-07-17 22 33 45 犬よくやたw -- 2010-07-17 13 13 51 NICE DOG -- 2010-07-12 13 11 20